2025-06-10 コメント: 1件 ▼
自民党、消費減税拒否で現金給付を参院選公約に 「無策」批判恐れ急転換の背景
消費税減税は拒否、「無策」批判恐れ急転換
自民党が物価高対策として、かつて見送った現金給付を今夏の参院選の公約に掲げる方針を固めた。当初は「歳出拡大」に慎重だったが、野党の消費税減税論に押される形で、対応を一転。選挙戦での「無策」批判をかわすため、急遽、給付案を復活させた。
背景には、参院選を前に支持率低迷が続く石破政権への危機感がある。特に、選挙を直前に控える参院議員たちからは、「このままでは戦えない」との声が強まり、4月には「所得制限なしで3~5万円を給付すべき」との意見が相次いだ。しかし、世論調査で「ばらまき」との批判が優勢となり、いったんは立ち消えに。
ところが、立憲民主党が「物価高を放置したまま無策だ」(野田佳彦代表)と痛烈に批判し、消費税ゼロや2万円の給付を公約に掲げると、政権与党内でも焦りが加速。自民党は、赤字国債を使わず「税収の上振れ分」を財源に現金給付を実施するという名目で、再び給付を打ち出す方向に舵を切った。
「選挙向けばらまき」との批判をかわす構え
木原誠二選対委員長は9日の講演で、「実効性のある給付が必要だ」と述べ、自民党がいかにも冷静に判断したかのような装いを見せた。しかし、給付の名目がどうあれ、「選挙目当てのばらまき」に映ることは避けられない。
特に問題視されるのは、財政規律を理由に「消費税減税を一貫して拒否してきた」点だ。森山裕幹事長は「消費税を下げるような公約は、どんなことがあってもできない」と明言しており、これは増税路線に固執している表れでもある。物価高で苦しむ庶民の暮らしには目を向けず、国民の税負担は据え置いたまま、表面的な「補助」でごまかすという構図だ。
自民党の松山政司参院幹事長も「手取りが増えれば、景気刺激につながる」と述べたが、これは減税によって直接的に可処分所得を増やすアプローチとは異なり、一過性の「施し」に過ぎない。党内からも「説得力がない給付では支持を得られない」(中堅議員)との苦言が漏れており、4月の見送り判断との整合性も問われている。
「減税なき給付」では支持回復は困難
実際、多くの経済専門家や国民は「給付より減税」の声を強めている。消費税減税が実施されれば、あらゆる世帯に等しく恩恵があり、物価上昇に対する根本的な防波堤となりうる。反対に、現金給付は時限的で、物価が上がり続ける中では焼け石に水だ。
公明党は一貫して「減税+給付」のセットを模索してきたが、自民党の慎重姿勢に足並みを揃える形で、ついに減税の公約化を見送った。現場では公明関係者からも不満の声が漏れ始めている。
「消費税減税なしで本当に戦えるのか不安だ」
「減税できないのに給付でごまかすのは時代遅れ」
「消費税に触れないのは庶民の生活を理解していない証拠」
「給付金ではすぐ使い切ってしまう。減税のほうが安心できる」
「選挙のたびに給付でごまかす政治にもううんざり」
これらの声に象徴されるように、国民が求めているのは「持続的に生活を支える政策」であり、それは明らかに減税である。給付金ではなく、消費税や所得税の減税こそが、実質的に家計の負担を軽くし、景気全体を押し上げる原動力となる。
その場しのぎの政策から脱却し、減税による構造改革を
物価上昇が長期化する中、政府に求められるのは一過性の施策ではなく、根本的な構造改革である。安定した税制・財政運営を前提としつつも、国民の暮らしに寄り添った減税政策は可能だ。ましてや、近年の税収は想定を大きく上回っており、その「上振れ分」を減税の形で国民に還元するのが本来あるべき姿ではないか。
給付金は、配布の事務コストが高く、実際に届くまで時間もかかる。過去の例を見ても、その効果は限定的だった。政治が今なすべきは、「選挙対策のための場当たり給付」ではなく、「減税による持続可能な支援体制の構築」だ。
今回の自民党の方針転換は、その場しのぎの印象を否めない。参院選での支持回復を狙うにしても、真に国民の信頼を得るには、生活者の視点に立った減税こそが不可欠である。むしろ「給付ありき」で選挙を戦おうとする姿勢は、政治への不信を一層招く危険すらある。