2024-12-19 コメント投稿する ▼
「103万円の壁」の引き上げ案、自民党の不誠実な対応に疑問の声――真の改革は実現するのか
「103万円の壁」とは何か
「103万円の壁」は、配偶者や子どもの所得がこの金額を超えると、扶養者側に税負担が発生する制度上の閾値を指します。この制度は、配偶者や学生の働き方を制限し、労働意欲を損なう原因として長年批判されてきました。自民党はこれを「改革」と称して議論を進めていますが、実際の内容を見ると、その本質的な改善には程遠いように思えます。
改正案の主な問題点
123万円への引き上げ
自民党は基礎控除額を103万円から123万円に引き上げる方針を打ち出しましたが、この変更はあくまで一時的な対応に過ぎません。123万円という額は、現在の物価上昇や生活コストを考慮すれば十分ではなく、多くの国民にとって「新たな壁」を生むだけです。本質的な問題解決を目指す姿勢が見られず、改革の名を借りた延命策ではないかという指摘がされています。
「178万円」を目指す将来的な目標
自民党は将来目標として「178万円」を掲げていますが、この目標は具体性に欠け、いつ達成されるのかは明言されていません。野党や国民民主党の圧力を受けて形だけ盛り込まれた目標であり、実現可能性が低いとの批判もあります。現実的な行動計画が示されない限り、この目標は国民を欺くための「絵に描いた餅」と言わざるを得ません。
特定扶養控除の150万円への引き上げ
大学生などを扶養する親の税負担を軽減するとして、特定扶養控除の適用上限を150万円に引き上げる方針が示されていますが、これも根本的な制度改革とは言えません。制度全体の矛盾を解消するための包括的な議論が不足しており、場当たり的な対応に終始している印象を受けます。
扶養控除の現行水準維持
高校生以下の子を持つ家庭に適用される扶養控除については、縮小案を見送るとしていますが、これは当初の計画から後退したものであり、負担軽減を期待していた国民にとって失望を招く結果となりました。
ガソリン減税と国民民主党への対応
ガソリン減税についても、国民民主党の主張を受け入れる形で「将来の目標」として盛り込まれていますが、実現の見通しは不透明です。このような対応は、単に野党との合意を取り繕うためのものに過ぎず、国民生活を真に支える施策とは程遠いものです。
今後の課題
自民党が掲げる税制改正案は、改革の本質を見失い、表面的な変更に留まっているとの批判が強まっています。短期的な効果を狙った施策は、長期的な視点での税制の持続可能性や社会保障制度の安定化を阻害するリスクがあります。国民に寄り添う誠実な対応を見せない限り、自民党への信頼はさらに低下することでしょう。