2025-05-09 コメント投稿する ▼
国立大学病院の6割が赤字、物価高と人件費増が経営を圧迫—診療報酬引き上げが求められる理由
国立大病院の赤字拡大、全国42病院の6割が苦境
全国に42ある国立大学病院のうち、およそ6割にあたる25病院が2024年度の決算で赤字に陥る見通しだ。赤字額は全体で213億円に達し、前年と比べて赤字病院は9つ増加した。医薬品や診察材料の値上がり、医師の働き方改革による人件費増が、経営悪化の主な原因となっている。
国立大学病院長会議の大鳥精司会長(千葉大学病院長)は記者会見で「病院が患者を診れば診るほど赤字が増えるというのが現状です。このままでは病院が立ち行かなくなりかねません」と警鐘を鳴らした。彼は診療報酬の引き上げや財政支援を、国や自治体に求めた。
赤字の原因は物価高と人件費増
赤字病院が増加した背景には、医療費の高騰と医師の働き方改革がある。医薬品費は2018年度に比べ約40%増加し、光熱費も同様に上昇。ガーゼや包帯などの診療材料費も20%増え、人件費も10%近く上がっている。特に「働き方改革」による医師の労働時間短縮は、人員確保にさらなる負担を強いている。
診療報酬は公定価格であり、病院が自由に価格を変更できないため、物価上昇に対応できない。これが国立大病院の経営を圧迫している。診療報酬は2年に1度しか改定されず、現場のコスト上昇に追いついていないのが現状だ。
国立大病院の役割と限界
国立大学病院は高度医療の提供や医療人材の育成を担う拠点だが、その経営が危機に瀕している。日本病院会など医療団体は診療報酬が物価や人件費に迅速に対応できる仕組みを求めている。大鳥会長も「診療報酬を見直さない限り、病院は減収増益という逆転現象に直面する」と指摘する。
また、自治体との調整不足も指摘されている。地域医療介護総合確保基金の申請状況が不透明な病院が多く、国立大学病院長会議は「自治体との連携を強化し、支援を求める必要がある」と訴えた。
ネットの反応
「病院が赤字になるなんて、医療崩壊の前兆では?」
「診療報酬を上げないと、国立大病院も潰れるのか」
「医師の働き方改革は必要だが、経営破綻するようでは本末転倒」
「物価が上がり続ける中で、医療費だけが固定では無理だろう」
「国がしっかり支援しなければ、医療そのものが危機だ」
今後の展望
国立大学病院は、高度な医療提供や医療人材育成という重要な役割を担う。しかし、現行の診療報酬制度では物価や人件費の上昇に柔軟に対応できず、経営が苦境に立たされている。診療報酬の引き上げだけでなく、効率的な経営体制の構築や自治体との連携強化が求められる。政府は医療の持続可能性を確保するための具体的な支援策を早急に検討すべきだ。