2025-05-07 コメント投稿する ▼
国境離島を守れ:政府、レーザー測量で地形変化を監視強化 領海・EEZ維持へ迅速対応
国境離島を守れ:政府、測量強化で海洋権益確保へ
政府は、日本の領海や排他的経済水域(EEZ)の基点となる国境離島の保全を強化する方針を決めた。今年度から最新のレーザー測量技術を導入し、地形の変化を自動で比較できる「地形照合システム」を2026年度までに整備する計画だ。これは、浸食などの影響を早期に把握し、領海やEEZの維持につなげる狙いがある。
レーザー測量で精密なデータ取得:保全体制を強化
従来の国境離島の調査は、10年ごとに航空写真や衛星画像を使い目視で確認していた。しかし、これでは変化を迅速に察知することが難しかった。そこで政府は、測量の頻度を5年ごとに引き上げ、特に浸食の影響を受けやすい約25島では、レーザー測量を実施することを決定。レーザー光を島に照射し、その反射を測定することで、島の形状を精密に記録することが可能になる。
この取り組みは、内閣府と国土地理院が連携し、2028年度までに日本が保全・管理する全473島の地形データを収集する計画だ。中でも、東シナ海に浮かぶ肥前鳥島(長崎県五島市)周辺の「北小島」「中小島」「南小島」などは、周辺が好漁場であり、特に注目されている。
島の消失を防ぐために:保全工事も視野に
新たに導入される地形照合システムでは、測量データを蓄積し、5年後の測量結果と自動比較することで、浸食や地形変化の兆候を即座に検知できる。これにより、変化が確認され次第、早急に保全工事に着手することが可能になる。
実際、日本最南端の沖ノ鳥島(東京都)では、浸食を防ぐための護岸工事が行われており、国の主権を守るための対策が進められている。
島の消失相次ぐ:EEZ維持の危機
国境離島の保全強化に動き出した背景には、島の消失が相次いで確認されたことがある。2018年には北海道猿払村沖の「エサンベ鼻北小島」が波や流氷の浸食で海面下に沈み、2023年に政府は「島ではない」と結論づけた。政府は当初、全国で484島を国境離島としていたが、2023年の調査では14島が消失し、新たに3島を追加した。
内閣府の担当者は、「国境離島を失えば、領海やEEZの範囲が狭まり、漁場や海底資源などの海洋権益が失われる可能性がある」と警鐘を鳴らす。今回の測量強化は、日本の海洋権益を守る上での重要な一歩だ。