2025-04-28 コメント投稿する ▼
石破首相、ベトナムと自由貿易・安保協力強化へ 中国念頭に国際秩序維持を確認
日ベトナム首脳会談
自由貿易体制強化と安全保障協力を確認ベトナムを公式訪問中の石破茂首相は4月28日、ハノイでファム・ミン・チン首相と首脳会談を行った。両首脳は、トランプ米前政権による関税措置を巡り意見交換を交わし、多角的な自由貿易体制の維持と強化の必要性について認識を共有した。さらに、安全保障分野での協力強化や経済連携の深化に向け、幅広い分野で連携していく方針を確認した。
自由貿易体制の重要性を再確認
今回の会談では、世界経済の不透明感が高まる中、自由で公正な国際貿易ルールの維持が不可欠であるとの認識で一致した。トランプ前政権が推し進めた関税政策による影響にも言及し、石破首相は「多角的自由貿易体制の強化は、東南アジア地域の安定と繁栄にも直結する」と強調。チン首相も日本との協力を通じ、外的リスクに対する耐性を高めたい意向を示した。
対中国を念頭に安全保障協力を深化
安全保障分野でも両国は連携を強化する方針を確認した。石破首相は、防衛装備品の供与を可能とする「政府安全保障能力強化支援(OSA)」をベトナムのニーズに応じて実施する考えを伝達。さらに、外務・防衛次官級による「2プラス2」協議体の創設に合意し、防衛装備・技術協力を具体化していくことで一致した。
地域情勢についても、東シナ海や南シナ海での中国の動向を念頭に「法の支配に基づく国際秩序の維持、強化が不可欠」との認識を共有。北朝鮮の核・ミサイル問題、拉致問題、ミャンマー情勢などを含め、緊密な意思疎通を続ける方針を確認した。
経済協力分野も幅広く連携
経済分野では、半導体分野やグリーントランスフォーメーション(GX)、脱炭素分野での協力強化に加え、日本企業によるベトナムへの投資拡大を後押しすることでも一致した。石破首相は、「アジアゼロエミッション共同体(AZEC)」の枠組みを活用し、脱炭素・エネルギー協力を一層推進する意向を示した。
また、インフラ整備や防災対策に関する協力についても、両国の連携を深める方針が確認された。石破首相は、「多くの日本企業がベトナム経済に貢献している。ベトナム側の声に誠実に耳を傾け、着実な支援を続ける」と述べた。
戦略的パートナーシップ深化へ
今回の首脳会談は、少人数会合と拡大会合の二段階で行われた。拡大会合冒頭、石破首相は「アジアと世界の平和と繁栄に貢献するため、包括的・戦略的パートナーシップを一層強化したい」と意欲を表明。国際情勢や世界経済のあり方についても、率直な議論を交わす姿勢を示した。
日本とベトナムは、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた「志を同じくするパートナー」として、今後さらに関係を深化させる見通しだ。