2025-04-19 コメント投稿する ▼
日本、トランプ関税に対抗策 大豆・米の輸入拡大で交渉打開狙う
輸入拡大を検討する日本の苦しい立場
日本政府が、米国との関税交渉において大豆と米の輸入拡大を検討していることが明らかになった。背景には、ドナルド・トランプ前大統領が掲げる「相互主義」に基づく強硬な貿易政策がある。読売新聞が伝えたところによれば、日本は自動車などの輸出品に課されている高関税の見直しを求める一方で、米側が求める農産物市場の開放を交渉材料として提示する構えだという。
米側の強い要求と厳しい交渉
今月開かれた初回の二国間交渉では、米通商代表団が「東京は自動車と米で市場障壁を設けている」と主張。日本に対して、肉類や水産物、ジャガイモといった農産品の輸入拡大を強く求めた。米国側の関心が高いのは、民主党支持が強いカリフォルニアなど米の主要産地も含まれており、政治的な背景も絡んでいる。
交渉では、日本の赤澤良成経済再生担当大臣がトランプ氏の執務室に招かれ、「大きな進展」とする発言が飛び出したが、具体的な成果は不透明なままだ。
自動車関税をめぐる攻防
現在、日本の輸出品には最大で24%の関税がかけられており、自動車に関しては25%が適用されている。90日間の凍結措置が講じられているが、根本的な撤廃には至っていない。日本政府は、自動車産業が国内経済を支える重要な柱であることから、ここでの譲歩には慎重だ。
一方、米側は「日本で米国車がほとんど走っていない」と批判。これに対して日本側は、「品質や顧客ニーズの違いであり、差別的な制度はない」と反論している。
米の関税批判と日本の反応
トランプ氏は「日本が米に700%の関税をかけている」と公の場で批判しているが、日本政府は「これはWTOルールに基づくミニマムアクセス米であり、古い価格水準が基準になっている」として、正当性を主張している。
なお、日本は国内での米の需要減少や供給逼迫の影響もあり、近年は米国産米の輸入を増やしている。こうした流れを踏まえ、大豆と米の輸入拡大は現実的な譲歩案となっている。
加藤勝信財務相は、来週ワシントンで開かれる国際会議の合間を利用して、ベセント米財務長官と二国間協議を予定している。農産物と自動車を軸に、関税交渉は政治・経済両面で重要な節目を迎えつつある。
日米の思惑が交錯する中、日本は自国産業を守りつつ、米国との安定した経済関係を築けるかが問われている。
- トランプ政権の関税措置撤回を目指し、日本は米国産農産物の輸入拡大を検討
- 自動車への高関税が交渉の焦点に
- 米側は肉や水産物などの市場開放も要求
- 次回交渉は4月下旬、財務相レベルでも継続協議へ