2025-04-14 コメント: 1件 ▼
休眠預金が難民支援に 渡部カンコロンゴ氏の元団体WELgeeにも助成金
休眠預金で社会課題に挑む
「休眠預金等活用法」は、10年以上動きのない預金口座を社会課題の解決に充てるという仕組み。2016年、安倍政権下で成立したこの制度に基づき、JANPIAが資金分配団体を選び、その先にあるNPOや地域団体の活動を後押ししている。
今年度は、「青少年自立援助センター」「ちくご川コミュニティ財団」「長野県みらい基金」が選ばれた。たとえば、青少年自立援助センターでは、外国にルーツを持つ若者たちを地域ぐるみで支援するプロジェクトを展開するという。
WELgeeへの助成 難民申請者に寄り添う支援
過去の助成例として注目されたのが、2021年度に実施された「緊急支援枠」。リープ共創基金が資金分配団体となり、約2億円の助成を受けて12の団体に資金を分配した。その中の一つが、NPO法人WELgeeだった。
WELgeeは、紛争や迫害から日本に逃れてきた難民申請者に対し、就労支援やスキル研修を提供している団体だ。代表を務めていたのが渡部カンコロンゴ清花氏。支援対象者は、在留資格が不安定なため安定した雇用を得にくく、言語の壁や社会的な偏見にもさらされている。
団体は当時、コロナ禍で職を失ったりシフトが激減した難民申請者に対し、社会人メンターとのキャリア支援や、RPAなどのITスキル研修、ビジネス日本語の習得支援、さらには企業でのインターン機会の提供を行っていた。
日本の難民認定は狭き門
日本では年間1万件以上の難民認定申請があるが、実際に認定されるのはごくわずか。2024年の認定者数は190人と、前年よりも減少した。こうした背景の中で、難民申請中の人々は生活基盤が脆弱で、就労機会や教育の場も限られている。
WELgeeのような団体は、難民を「助けを必要とする人」ではなく、「社会課題を共に解決する仲間」と位置づけ、当事者主体の支援を行ってきた。
制度の意義と今後
休眠預金を使ったこの支援制度は、NPOなど草の根の活動を後押しし、行政が手の届きにくい層への支援を可能にしている。一方で、その使途や選定プロセスの透明性が問われる場面も少なくない。
今後もこの制度の活用が進む中で、支援対象の適正さや資金の流れに関する検証も求められていくことになりそうだ。
- 休眠預金を活用した支援制度が外国ルーツや難民申請者への支援に使われている
- 過去にはWELgeeなど12団体に総額2億円規模の助成
- WELgeeは、難民申請者にスキル研修や就労支援を行う団体
- 渡部カンコロンゴ清花氏が代表を務めていた
- 難民認定率の低さや在留資格の不安定さが日本の課題として浮き彫りに
- 今後も制度の透明性と活用範囲の議論が続く見込み