2025-04-08 コメント: 1件 ▼
石破首相の対米戦略に疑問符 「相互関税」提案で動いたが交渉進展せず
外交的圧力を避け、協議継続にとどまる
8日、石破首相は官邸で総合対策本部を開いたものの、指示内容は「関税措置の見直しを外交的に求めていく」とするだけで、具体的な戦略は示されなかった。米側に対する圧力や明確な要求は避け、むしろ対話の継続に重点を置く姿勢は、問題の本質を避けているようにも映る。
早期訪米を見送り、内向きの調整優先
かねてから報道されていた首相の早期訪米も見送りに転じた。石破政権は、まず閣僚レベルでの協議に切り替える方針を取ったが、これは交渉の主導権を自ら手放した形だ。外務省幹部が「ようやく入り口に立てた」と語る姿からは、他国に比べても対応の遅れがうかがえる。
赤沢経済再生相に交渉一任も、実績乏しく懸念
交渉の担当には赤沢亮正経済再生担当相が任命されたが、国際交渉の場数が少なく、米側のベセント財務長官に対してどこまで対等に立ち回れるかには疑問が残る。米国が日本との交渉を「優先」するという報道もあるが、実際は他国との交渉停滞の中で消極的に対応しているだけとの見方も強い。
対米投資で説得狙うも、論理の押しつけ感
日本政府は、対米投資の縮小が米国経済にマイナスになると主張し、これを関税見直しの説得材料とする構えだ。しかしこれは、日本側の都合にすぎず、トランプ氏が掲げる「米国第一」の路線にどこまで響くかは不透明だ。アラスカ産LNG開発など新たな協力提案も、具体性に欠ける。
USスチール買収再審査を「配慮」と見る希望的観測
一部では、日本製鉄による米大手鉄鋼メーカー「USスチール」の買収再審査を、米国からの「配慮」と見る向きもあるが、これは過度に楽観的な解釈と言える。実際には、安全保障や雇用の観点から再審査に入った可能性が高く、日本に有利に働くとは限らない。
トランプ氏の反応は冷淡、政権の見通し甘く
電話会談直後、トランプ大統領はSNSで「日本はこれまで貿易で米国を粗末に扱ってきた」と不満を表明しており、交渉に前向きな空気は感じられない。石破政権が描く“対話による関係修復”のシナリオは、早くも現実と乖離している印象だ。
- 石破首相の「相互関税」提案は交渉打開に至らず
- 米側への圧力は避け、外交的な説得にとどまる
- 首相の早期訪米は見送り、閣僚協議へと後退
- 経済再生相に交渉一任も、実績や経験に不安
- 対米投資を交渉材料に使うが、効果は不透明
- LNGや買収再審査に期待寄せるも、根拠は弱い
- トランプ氏のSNS投稿は依然として敵対的