2025-04-04 コメント投稿する ▼
USAID支援停止で国際支援に空白 石破政権、日本が5億円拠出しUNICEFと連携 アルメニア避難民の子どもに心のケア
この支援は、2023年秋にアゼルバイジャンが軍事行動を起こし、ナゴルノ・カラバフ地域から10万人を超える住民がアルメニア側に避難したことを受けてのもの。避難民の多くは家族や友人と離れ離れになり、生活の基盤を失った状態で、特に子どもたちは大きなストレスと不安を抱えている。外務省によれば、子どもだけで約3万人が影響を受けていると見られる。
日本政府は今年2月27日、アルメニアの首都エレバンにて、駐アルメニア特命全権大使とUNICEFアルメニア代表との間で、今回の支援に関する書簡の署名と交換を行った。資金はUNICEFを通じて、現地の教育、保健、福祉の各分野におけるメンタルヘルス支援体制の強化に使われる。
具体的には、保健・教育現場の従事者や心理カウンセラー、ソーシャルワーカーら約5,600人への研修、そしておよそ30万人の子どもや若者、さらにその保護者を対象とした支援が予定されている。UNICEFは現地政府と連携し、心のケアを提供する国家的な仕組みの整備にも取り組む方針だ。
日本の青木豊・駐アルメニア大使は「私たちの目標は、紛争の影響を受けた子どもたち一人ひとりに寄り添い、そのニーズに合った思いやりのある支援を届けることです」とコメントしている。
UNICEFアルメニア代表のクリスティーン・ヴァイガンド氏も、「すべての子どもたちが精神的にも健やかに育つ権利を保障するためには、地域社会全体が連携した支援が欠かせません」と述べ、今回の支援に対する期待を語った。
なお、この背景には、アメリカの国際開発庁(USAID)が支援の8割以上を削減し、多くの国際機関が人員削減や事業縮小を強いられている現状もある。アフガニスタンやレバノンでは、UNICEFが行っていた栄養支援や医療事業が縮小され、子どもたちの命と健康に深刻な影響が出始めているという報道もある。
その中で、日本が独自にこうした支援を打ち出したことは、国際社会の中でも注目されている。単なる金銭的な援助にとどまらず、現地の仕組みを強化し、持続可能な支援へとつなげる姿勢は、今後の国際協力のモデルケースとなる可能性もある。
戦火の記憶を抱えて生きる子どもたちが、再び笑顔を取り戻せるように。石破政権が掲げる「人間の安全保障」に基づく外交のひとつとして、今回の取り組みが実を結ぶことを願いたい。