2025-04-17 コメント投稿する ▼
原油輸入、2年連続で減少 LNG・石炭は増加傾向 価格下落と需要減が影響
原油輸入、2年連続で減少 価格下落と需要低下が影響
2024年度の日本の原油輸入が、前年に続いて減少した。財務省が18日に発表した貿易統計(速報値)によると、通関ベースの原油輸入量は前年比で7.1%減少し、1億3,467万キロリットル(1日あたり232万バレル)となった。輸入額も5.7%減の10兆6,500億円(約747億ドル)にとどまった。
原油の輸入量・金額がともに減少するのは2年連続。背景には、国内の石油需要の縮小と、国際的な原油価格の下落があるとみられる。
化石燃料の構成に変化 LNGと石炭は増加
一方、液化天然ガス(LNG)と石炭の輸入には増加傾向がみられた。LNGは前年比1.5%増の6,587万トン、輸入額は2%増の6兆1,700億円。発電用一般炭の輸入量は7.4%増の1億546万トンとなった。だが、国際価格の下落により、輸入額は11.9%減少している。
月別で見ると、2025年3月の原油輸入量は前年同月比で13.6%減少し、1,078万キロリットル(1日あたり219万バレル)だった。LNGも前年同月比で7.2%減の515万トンと減少。一方、一般炭の輸入量は8.8%増の831万トンと堅調に推移した。
高止まりする中東依存 調達の多様化は道半ば
日本の原油輸入先は中東地域が大半を占めており、依存度は現在も9割を超える。このため、政治情勢や国際的な安全保障環境の影響を受けやすい構造が続いている。エネルギーの安定調達をめぐっては、政府や企業による調達先の多様化が課題となっている。
省エネと再生可能エネルギーの拡大が焦点に
国内ではエネルギー効率の改善や電動車の普及が進み、化石燃料への依存度は徐々に下がっている。とはいえ、2022年度時点のエネルギー自給率はわずか12.6%にとどまり、先進国の中でも低い水準にある。
再生可能エネルギーの導入や、水素・アンモニアなど次世代エネルギーへの転換が進むかどうかが、今後のエネルギー政策のカギを握る。
- 原油輸入量は前年比7.1%減の1億3,467万キロリットル
- 輸入額は5.7%減の10兆6,500億円で2年連続の減少
- LNG輸入量は1.5%増、一般炭は7.4%増と対照的な動き
- 原油の中東依存度は9割超で高止まり
- エネルギー自給率は12.6%にとどまり、持続可能な政策が求められる
国際価格の動向だけでなく、国内のエネルギー消費構造そのものが大きく変わり始めている今、日本のエネルギー戦略は新たな局面に入ったといえるだろう。