2025-06-15 コメント投稿する ▼
政府のコメ高騰対応に「不十分」56% 随意契約放出では信頼回復に至らず
政府の対応「評価せず」56.9% 備蓄米放出でも広がる不満
共同通信が6月14・15日に行った全国世論調査で、コメ価格の高騰に対する政府の対応を「十分だ」と答えたのは36.6%にとどまり、「不十分だ」が56.9%と過半数を占めた。備蓄米の随意契約による放出が一部では評価された形だが、依然として国民の不信感は根強い。
特筆すべきは、4月の調査時点で「十分だ」とする回答は14.7%、5月には10.3%とさらに低下していたことだ。今回の結果はそこから若干回復したとはいえ、過半数以上が「足りない」と答えており、政府対応が抜本的な物価対策と見なされていないことが明らかになった。
背景には、政府が打ち出した「備蓄米の一部放出」がある。市場価格の抑制を狙った措置だが、随意契約による不透明な放出方法や、流通現場への即時効果が乏しいことから、「やっている感だけでは?」との冷ややかな見方も少なくない。
与党支持層は評価も 野党・無党派は依然厳しく
支持政党別に見ると、与党支持層では比較的高評価が目立った。自民党支持層では52.3%、公明党支持層では56.2%が「十分だ」と回答している。これは政権与党への期待と一体感が反映されているとも言えるが、野党支持層および無党派層の厳しい視線とは対照的だ。
立憲民主党支持層では62.8%が「不十分」とし、国民民主党では75.0%、共産党では実に86.7%が不満を示した。れいわ新選組(77.9%)、維新(50.5%)など、政策スタンスに差がある政党支持者からも厳しい声が続出しており、「どの政党が言うかより、政府が実際に何をしているか」が問われている形だ。
さらに、「支持政党なし」と答えた無党派層でも59.3%が政府の対応を「不十分」と判断しており、コメ価格の高止まりが“生活実感”として不満の根にあることがうかがえる。
「備蓄米を放出したって、スーパーの値段は下がっていない」
「もっと前から増産の方針に転換すべきだった」
「随意契約なんて癒着の温床。透明性ゼロ」
「現金給付じゃなくて、根本的な構造改革を」
「減反政策が長年の失策。政府は責任を認めてほしい」
高騰の元凶は“長年の減反” 米の戦略的自給見直しを
今回の世論調査は、政府のコメ対応が評価されない本質的な理由を示している。それは「一時的な備蓄米放出では、根本的な価格構造は変わらない」という国民の理解だ。長年続いた減反政策で国内のコメ生産は細り、輸入飼料や肥料高、気象不安の影響も加わって供給力が不安定になっている。
つまり、「値段が上がったから慌てて備蓄米を出す」のではなく、最初から「農業を国の根幹として維持する」覚悟が問われているということだ。
米は単なる食品ではなく、エネルギーや安全保障と並ぶ“戦略物資”だ。にもかかわらず、農業政策が財政論や市場調整だけで語られてきた結果が、今回の高騰と国民の不安につながっている。
今後の食料政策においては、米の増産支援だけでなく、流通の透明化、農地維持の支援、そして生産者への直接減税など、根本的な支援策を打ち出す必要がある。
物価対策は“給付金”でなく“構造転換”を求める声
物価高に対する不満はコメだけにとどまらず、ガソリン、電気、生活用品にも広がっている。政府は短期的な給付金で火消しを図ろうとしているが、世論は「それでは何も解決しない」と見ている。
本来必要なのは、消費税や燃料税の見直し、インボイス制度の廃止など、広範な「負担軽減のための減税策」だ。加えて、農業やエネルギーなど基幹産業への安定した投資と、国内自給体制の再構築が求められている。
今、国民が求めているのは、財務省の顔色をうかがった帳尻合わせではなく、「生活を守る本気の政策」だ。コメの価格ひとつ取っても、そこに問われているのは、政治の覚悟そのものである。