2025-06-12 コメント投稿する ▼
EUが日本への農産物輸出拡大を画策 小泉農水相とハンセン委員が意見交換、けん玉も手土産に
EU、日本市場への農産物輸出拡大を画策 小泉農水相とハンセン委員が会談
日本とEUの農産物貿易に新たな動きが見え始めている。11日、小泉進次郎農林水産大臣は、EUのクリストフ・ハンセン欧州委員(農業・食料担当)と会談を行い、日EU経済連携協定(EPA)を基盤とする協力関係の強化を確認した。ハンセン氏が明言したのは「高品質で安全なEU農産物の日本市場への輸出拡大」。米中対立や関税リスクを背景に、欧州側は“次なる成長市場”として日本に注目している。
小泉大臣は会談後、自身のSNSで「けん玉をプレゼントした」と紹介し、ハンセン氏との親しみある交流を強調したが、水面下ではEU側による戦略的な“攻勢”が静かに進んでいる。
輸出拡大へ本腰 EUは日本市場を新たなターゲットに
EUの農業団体や輸出業者が今、日本市場をにらんだ動きを強めている。欧州の生鮮野菜・果物のサプライチェーンを代表する団体「フレッシュフェル(Freshfel Europe)」は、日EU EPAに基づき日本向け青果物の貿易拡大を促進するよう、関係者に強く呼びかけている。
背景には、米国の保護主義政策や中国との不安定な外交関係がある。こうした中、日本は「安定・高所得・食品安全意識の高い市場」として欧州にとって魅力的な輸出先となっている。実際、欧州産のチーズやワインの日本での消費はここ数年で急増しており、今後はリンゴ、柑橘類、トマトなどの青果も本格的に売り込まれる可能性がある。
「EU産の野菜が安く入ってくると、日本の農家は厳しくなる」
「EPAで得してるのはEUばかりでは?」
「日本の農政は輸入拡大より、自給率回復を優先すべき」
「欧州は“高品質”を売りにしてくるけど、国産品も負けてない」
「けん玉よりも、農家の保護策をプレゼントしてほしい」
小泉大臣、けん玉で“親善外交” しかし国内農業への影響は?
今回の会談では、政策レベルの意見交換に加え、小泉農水相がけん玉を贈るなど、文化交流的な演出も行われた。SNSでは「初対面ながら率直な意見交換ができた」と述べたが、欧州側の真の狙いは農産物輸出の拡大にある。
一方で、日本の農業関係者の間には警戒感が根強い。農産物の輸入が増加すれば、価格競争力に乏しい国内の中小農家がさらに圧迫される恐れがある。とりわけ、農産物の自給率が37%前後にとどまる日本にとって、輸入依存の加速は「食の安全保障」を危うくする要因にもなりかねない。
今後の焦点は「関税」と「規制緩和」 日本の農政が試される
日EU EPAでは、一部農産品の関税撤廃がすでに始まっている。だが、今後EU側が求めてくるのは「検疫・残留農薬基準の緩和」や「品目拡大」である可能性が高い。これは日本の農政当局が「品質・安全・環境基準」をどこまで守り抜けるかの試金石になる。
さらに、日本側が欧州産農産物の流通を容易にすれば、逆に国内の農産品の販路が圧迫され、地域農業の持続性が損なわれるリスクも高まる。これに対し、農林水産省は「戦略的輸出強化」などの名の下に“攻めの農業”を掲げてきたが、輸入攻勢への防御は依然として不十分な印象が否めない。
小泉大臣の外交スタイルはフレンドリーで柔軟さがあるが、今後求められるのは“けん玉外交”を超えた戦略的かつ防衛的な農政対応である。EUとの協力関係を築く一方で、国内農業の競争力強化や消費者への啓発も両立させるバランス感覚が問われている。