2025-06-01 コメント投稿する ▼
小泉農水相「備蓄米30万トン、需要があれば全て出す」柔軟対応で米価高騰に歯止めなるか
小泉農水相「全部出す覚悟」 備蓄米再放出に前向き姿勢
米の供給不足と価格高騰が続く中、小泉進次郎農林水産相は6月1日、政府備蓄米の追加放出に意欲を示した。「状況を見て臨機応変に対応する。需要があれば全部出す」と語り、現時点で残る約30万トンの備蓄についても柔軟に供給していく姿勢を明確にした。
この発言は、都内で備蓄米の販売店舗を視察した後、記者団に対して行われたもので、事業者からの申し込みが殺到している現状を受けての判断とみられる。
米の供給ひっ迫と価格高騰の実態
現在、日本国内ではコメの在庫が急激に減少し、価格も高止まりしている。背景には、2023年の猛暑や作付面積の抑制といった要因があり、想定を超える在庫不足を招いた。加えて、2024年産のコメが早々に消費されていることもあり、「来年の米が今年中に消える」という異常事態になっている。
このような状況のなか、米の価格はこの1年半で1.6万円から2.6万円へと6割以上も上昇。消費者や飲食業界からは「これではやっていけない」と悲鳴があがっており、政府に対する価格抑制の圧力が強まっている。
なぜ備蓄米はすぐに値下げにつながらないのか
一方で、政府が放出する備蓄米は「価格を下げないよう配慮された仕組み」で販売されているとの指摘もある。流通先をJAや一部の業者に限定し、市場価格への直接的な影響を抑えているという見方が出ている。また、後日政府が買い戻すという条件が付くことも多く、結果的に価格に反映されにくい構造になっている。
それでも、放出される米が量的に増えることで需給バランスには一定の影響を与える可能性があり、小泉農水相の「全部出す」という方針が実行されれば、事態は少しずつ改善するとの期待も高まっている。
備蓄米再放出の背景に与党内の動きも
この動きには公明党の提案も影響している。党の議員が農水委員会で随意契約による販売を提案し、それが今回の施策の転換点となった。小泉農水相は「発想の転換が状況を動かした」と評価している。
しかし、これに対して「農協の利益が優先されていないか」「再放出が遅すぎる」といった批判もあり、与党内でも賛否が分かれている模様だ。農水省内でも、「米価が崩れないように」との意識が強く、消費者支援と農家支援の両立という課題を抱えている。
ネット上の声
「消費者目線なら、もっと早く全部出してくれてもよかった」
「米価が高すぎる。外食が本当に厳しい」
「備蓄米があっても流通しなきゃ意味がない」
「農家を守ることも大事だが、食卓も守ってほしい」
「小泉さんの言葉が実行されるか注目してる」
今後の焦点は“どう出すか”
備蓄米の放出量は30万トンに及ぶが、問題は「誰に、どの価格で、どんな条件で」出すのかにある。小泉農水相の発言には現場の切迫感がにじむが、最終的に市場価格にどう影響を与えるのか、慎重な見極めが必要となる。
消費者、農家、卸業者それぞれの立場をどう調整するか、政府のかじ取りが問われる。食料安全保障の観点からも、単なる「出す・出さない」だけでなく、流通ルートと価格政策を含めた総合的な再設計が必要になっている。