2025-05-26 コメント投稿する ▼
政府備蓄米の玄米販売にスーパー困惑 精米設備なく現場混乱も供給安定に期待
備蓄米の直接販売に現場困惑 スーパー「玄米じゃ売れない」も供給安定に期待
政府が発表した備蓄米の「随意契約方式」に基づく直接販売が注目を集めている。コメ価格の高騰に対応するため、小泉進次郎農林水産相は、政府備蓄米を大手スーパーなどの小売業者に対して直接売却する方針を打ち出した。現場では安定供給への期待が高まる一方、流通実務の壁も浮かび上がってきた。
玄米そのままでは店頭に出せず 現場は対応に苦慮
全国のスーパーで組織される日本チェーンストア協会の幹部は、「備蓄米は玄米なので、精米しないと販売できないが、店にはその設備がない」と指摘する。政府からは一部で「精米機を無償で使ってほしい」との提案もあるが、「現実的ではない」「現場の負担が大きすぎる」との声が相次ぐ。
現在、消費者の多くは精米済みの白米を購入しており、玄米のままでは売り場に並べることもできないというのが実情だ。仮に委託精米を行ったとしても、運搬や手数料など追加コストが発生し、結果的に価格の引き下げ効果が薄れる可能性もある。
一方で「安定供給」に希望も 買い占めの抑制に期待
一方で、新たな制度に対して「店頭に並べてもすぐ売り切れる米の供給が安定するなら助かる」との期待の声もある。過去には、価格が落ち着く兆しが見えない中で、人気のブランド米が即完売する事例も多く、買い控えや買いだめが続いていた。
消費者の混乱を避け、必要な人に必要な量が行き渡るよう、安定的な供給は喫緊の課題となっている。その点で備蓄米の直接販売は大きな一歩だが、制度がうまく機能するかは実行の工夫次第である。
米価高騰の背景と今後の焦点
現在、コメの価格は5kgで2000〜2500円前後が主流となっているが、近年は天候不順や農家の生産意欲低下も影響し、需給のバランスが崩れやすくなっている。米の買い付けに関しても、一部では商社や大手業者による囲い込みが問題視されており、価格の安定には多角的な視点が不可欠だ。
今後、政府は単なる供給量の調整だけでなく、精米流通の整備、コスト支援、中小スーパーへの物流対策など、多面的な対応が求められる。
SNS上の反応
政策に対して、ネットユーザーからは多くの反響が寄せられている。
「玄米をそのまま渡されても、消費者は困るよ。ちゃんと精米済みにしてからにしてほしい」
「備蓄米の放出はありがたいけど、現場の手間やコストを考えてほしい」
「今の米高は異常。早く安くならないと日常の食卓が厳しい」
「政府がもう少し小売側の事情を理解して対応してくれたら、うまくいくと思う」
「消費者の立場からすると、米が安定して買えるだけでかなり安心できる」
実効性が問われる「新方式」 現場の声と丁寧な調整を
制度そのものは米価安定のために不可欠な施策であることは間違いない。しかし、現場を無視した“机上の制度”では意味をなさない。玄米での提供という形にこだわるのではなく、精米済みでの流通や費用支援、物流面での協力体制づくりなど、実態に即した対策が不可欠だ。
農林水産省と小売現場が対話を重ね、消費者に届く形で制度を運用していけるかが、今後の鍵となる。