2025-04-30 コメント投稿する ▼
備蓄米が届かない本当の理由 流通の壁と制度の問題が浮き彫りに
備蓄米、なぜ届かない? 現場では「まだ見かけない」との声も
政府が市場に放出したはずの備蓄米が、いまだに消費現場に届いていない。農林水産省が4月30日に発表したデータによると、3月に実施された2回の放出分(計21万2,000トン)のうち、小売店や外食産業に実際に届いたのはわずか1.97%、4,192トンにとどまった。
5キロ3,000円超 消費者の実感とはズレも
小売店に出回った備蓄米の仕入れ価格は、60キロあたり33,806円(税抜き)。5キロ換算にすると、税込で3,042円になる。市中価格と比べればやや安いものの、スーパーで売られている米の価格は依然として高止まりしており、家計を圧迫している。
消費者の間では「備蓄米が出回ると価格が下がると聞いていたのに、全然実感がない」「どこで売っているのか分からない」といった声が上がっている。
流通が遅れる理由 “初めての作業”が障壁に
では、なぜこれほど時間がかかっているのか。農水省によると、備蓄米を扱うこと自体が初めてという卸売業者が多く、精米や包装、トラックの手配などで手間取っているという。
「備蓄米は、一般の流通米とは異なり、精米前の状態で出されます。これを一から精米して店頭に並べるまでには工程が多く、思ったよりも時間がかかってしまっているのが現状です」(米卸業者)
制度の見直しも急務 “融通の利かない仕組み”が足かせに
加えて、政府の放出制度にも問題がある。入札の対象は一定規模以上の集荷業者に限られ、しかも原則1年以内に“同じ量のコメを買い戻す”義務がある。この厳しい条件が、柔軟な流通を妨げているとの指摘もある。
農水省は今後、業者間の転売制限を一部緩和するなど、制度の見直しを進めるとしているが、対策は後手に回っている印象だ。
- 政府の備蓄米放出分のうち、小売・外食に届いたのは1.97%のみ。
- 小売店の仕入れ価格は5キロあたり約3,042円。
- 流通遅れの主因は、未経験の卸業者による精米・物流の遅れ。
- 硬直的な制度設計も、市場への流通を妨げている。