2025-04-14 コメント投稿する ▼
備蓄米大幅減少に懸念 農水相、報道に『危機感あおるな』
記者から「昨年6月末から比べて、備蓄米が3分の1ほど減ってしまうのではないか。仮に10年に一度のような凶作が来たとき、大丈夫なのか」と問われた江藤大臣は、「現在の備蓄は約60万トン、全体の6割ほどを確保している」と説明。その上で、「備蓄米の本来の役割を考えれば、簡単に市場に放出していいものではない。凶作が来ない保証はどこにもない。天候も不安定になっている時代だからこそ、安易な放出は慎重であるべきだ」との考えを示した。
また、ミニマム・アクセス米(政府がWTOルールに基づき輸入している外国産米)を活用すれば備蓄水準に近づけるとの指摘には、「確かに数量はある程度戻せる。ただし、報道にあたっては『備蓄がピンチ』などといった不安をあおる内容は避けてほしい」と、メディアの影響力に配慮を求めた。
背景にあるコメ価格の高騰
政府が備蓄米の放出を決めた背景には、昨年から続くコメ価格の高騰がある。2025年2月時点で、5キロあたりの平均価格は4100円を超え、1年前と比べて約1.7倍に跳ね上がった。これは消費者の家計にも大きく影響しており、コメの代わりにパスタやパンを買う家庭も増えている。
実は、2024年産のコメは18万トンほど前年より多く収穫されていたが、流通の停滞や卸業者が在庫を抱え込んだことで市場に出回る量はむしろ減少していた。そのため、価格がさらに押し上げられた格好だ。
備蓄放出は一時しのぎ? 長期的対策が焦点に
こうした状況を受け、政府は価格安定のために備蓄米の一部を放出しているものの、今後も気候変動による凶作リスクが高まる中、備蓄をどう維持していくかが課題となっている。
帝国データバンクの調査によれば、家庭でのカレーライス一皿あたりの価格は1年前より約90円上がり、原材料として使われるコメの値上がりが大きな要因とされている。
- 備蓄米の在庫は現在約60万トン、6割水準に減少
- 江藤農水相は「凶作リスクがある」として過度な備蓄放出に慎重
- 報道機関には「危機を煽るような報道は避けてほしい」と要請
- コメ価格は1.7倍に上昇、家計や飲食業界にも影響
- 流通の滞りと業者の買い控えが高騰の一因
- 今後は備蓄水準の回復と価格の安定をどう両立するかが焦点