2025-03-31 コメント投稿する ▼
コメ流通の目詰まり、価格高騰の一因に 農水省が実態調査結果を発表
■ 直接販売の増加と在庫の膨張
調査によると、今年1月の段階で生産者から大手集荷業者へのコメの流通量は31万トン減少しましたが、それに対して生産者と新たな取引先との直接取引は44万トンも増えました。特に注目すべきは、増加したコメの一部が各段階で在庫として積み増されたことです。生産者段階で9万トン、卸売業者段階で3万トン、さらに小売りや中食、外食業者の段階でも7万トンが在庫として積み上がったことが分かりました。
■ 「流通の目詰まり」が価格高騰の原因に
農水省は、コメの価格高騰を引き起こした一因として「流通の目詰まり」を挙げています。江藤拓農水相は、各事業者が将来の供給不安を心配して、先にコメを確保しようとした結果、在庫が積み上がり、そのことが流通を滞らせたと説明しました。このような状況が続けば、コメ市場の不安定さが深刻化し、価格の高騰をさらに引き起こす可能性があると懸念されています。
■ 政府の対応と専門家の見解
農水省は、この問題に対応するため、政府備蓄米の21万トンを放出することを決定しました。ただし、流通改善が見られなければ、さらなる備蓄米の放出などの対応を進める考えを示しています。流通が正常化するには、関係機関の協力と早急な対応が必要です。
一方、宇都宮大学の小川真如助教(農業経済学)は、大手集荷業者を通さずに取引された44万トンについて、「業者や消費者を装った購入者との取引があった可能性が高い」と指摘しています。違法に流通したコメもあると考えられ、今後はその実態を詳細に調査し、違法流通を厳しく取り締まる体制が求められると述べました。
■ 今後の展望
農水省は、流通の目詰まりを解消し、コメ市場の安定化を図るため、引き続き在庫状況や流通量の監視を強化する方針です。また、関係者との情報共有や協力を促進し、持続可能な流通システムの構築に向けて取り組みを進めることが重要です。
- 直接販売の増加:
JA全農を通さず、生産者から直接販売されたコメが前年同月比で44万トン増加。
- 在庫の増加:
増加したコメの一部が各段階で在庫として積み上げられ、特に生産者段階で9万トン、卸売業者段階で3万トン、小売りや外食業者段階で7万トンが増加。
- 流通の目詰まり:
先回りして在庫を積み上げた結果、流通が滞り、コメの価格高騰を引き起こした。
- 政府の対応:
コメの流通正常化に向けて、21万トンの政府備蓄米を放出。改善が見られない場合、追加対応を検討。
- 専門家の指摘:
違法流通の可能性もあり、詳細な調査と厳格な取り締まり体制の構築が必要。