2025-11-11 コメント投稿する ▼
原口一博議員が中国・薛剣総領事の高市首相への「汚い首斬る」発言撤回を要請、松下幸之助の教え引用
元総務大臣の原口氏は日本語と中国語でメッセージを投稿し、長年の日中友好関係を踏まえた「大人」の対応を求める内容で注目を集めています。 「私たちは共に友好の井戸を掘ってきたのでした」という表現で、長年の日中友好関係の重要性を強調しました。
中国の薛剣(せつけん)駐大阪総領事が高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁に対し「汚い首は斬ってやる」などと投稿した問題で、立憲民主党の原口一博衆院議員(66)が2025年11月11日までに、X(旧ツイッター)上で同総領事に発言撤回を要請しました。元総務大臣の原口氏は日本語と中国語でメッセージを投稿し、長年の日中友好関係を踏まえた「大人」の対応を求める内容で注目を集めています。
「汚い首は斬ってやる」問題の経緯
問題の発端は、高市早苗首相が2025年11月7日の衆院予算委員会で台湾有事について答弁したことでした。高市氏は「台湾有事」が安全保障関連法の規定において集団的自衛権行使が可能となる「存立危機事態」に該当するかを問われ、「武力の行使も伴うものであれば『存立危機事態』になり得るケースだと考える」などと答弁しました。
これに対し薛剣氏は11月8日深夜、朝日新聞デジタルの関連記事を引用して自身のXアカウントで「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか」と怒り顔の絵文字付きで投稿しました。この投稿は波紋を広げ、「高市首相への殺害予告とも読み取れる」などとする批判が殺到しました。
木原稔官房長官は11月10日の記者会見で「中国の在外公館の長の言動として、極めて不適切と言わざるを得ません」と述べ、外務省および在中国大使館から中国に対して強く抗議するとともに、関連投稿の速やかな削除を求めたことを明らかにしました。薛氏の投稿は9日夜の時点で一部が閲覧できない状況になったとされています。
「外交官がここまで過激な発言をするなんて信じられない」
「いくら台湾問題が敏感でも、首相への脅迫めいた発言は許されない」
「原口議員の対応は大人だと思う。こういう時こそ冷静な対話が必要」
「中国の外交官の質が落ちているのでは。もっと品格を持ってほしい」
「日中関係がこれ以上悪化しないよう、両国の政治家が努力すべき」
松下幸之助の教えを引用した原口氏の要請
原口氏は11月10日夜、日本語と中国語でXを更新し、薛剣総領事に向けて丁重ながらも明確なメッセージを発信しました。冒頭で「薛剣総領事、かねてからの日中友好のこの努力に改めて感謝を申し上げます。その上で件のご発言については、撤回されるように求めます」と切り出しました。
原口氏は松下政経塾出身の経歴を活かし、松下幸之助氏の中国改革開放支援や鄧小平氏との「君子の対話」を引用して日中友好の歴史を振り返りました。「松下電器は、天安門事件の時に多くの日本企業が撤退する中で中国に留まりました」と述べ、両国の困難な時期にも友好関係を維持してきた歴史的事実を示しました。
さらに原口氏は「高市総理も私も『繁栄はアジアに巡り来る』という松下幸之助さんの教えを受けてきました」とし、松下政経塾が中国社会科学院からも塾生を受け入れ、王毅外交部長(当時)が案内してくれた経験についても言及しました。「私たちは共に友好の井戸を掘ってきたのでした」という表現で、長年の日中友好関係の重要性を強調しました。
「中国の懐の深さ」を思い起こした説得
原口氏の投稿で特に印象的だったのが、過去の中国指導者の「大人」の対応を紹介した部分でした。「かなり前になりますが同じ政党の同僚が中国との間に物議をもたらすようなことをしたことがありました。私たちは、その直後に中南海を訪れました」と具体的なエピソードを披露しました。
その際、中国側の誰もその同僚について触れる人はいなかったが、帰国直前にただ1人、「もう少し考えてくれると有難い」と告げた人がいたといいます。原口氏は「その人は『大人』でしたが現役の幹部ではありませんでした。長年の日中友好でも知られ、両国からとても尊敬されている方でした」と振り返り、「中国の懐の深さを実感した場面として今も鮮明に記憶しています」と述べました。
この経験を踏まえ、原口氏は薛総領事に対し「我が国総理に対して総領事が発せられた言葉は、中国の品格をも傷をつけていないでしょうか?そもそも貴方らしくありません」とぴしゃりと指摘しました。外交官としての品位と、中国という大国の威信に関わる問題として捉えていることが明確に示されました。
外交の本質について説く
原口氏はメッセージの最後で、外交の本質について薛総領事に説きました。「かつて私がそれと知らず法輪功のメディア部門の記事を引用した時に『脇が甘い』と教えてくれましたね」と個人的なやり取りにも言及し、両者の関係の深さをうかがわせました。
そして「外交とは何かを経験豊かな総領事に私が言う話しではありませんが、例え国と国とが争うことになっても外交官とは、最後まで友好の道を探し続け行動するものなのではないでしょうか」と外交官の使命について語りかけました。この部分は、対立が激化する中でこそ外交官が果たすべき役割の重要性を訴える内容となっています。
最終的に原口氏は「高市総理への件の言葉は、撤回されることを強くお勧めします」と改めて撤回を求めて投稿を締めくくりました。全体を通して、感情的な批判ではなく、歴史的事実と外交の理念に基づいた説得力のあるメッセージとなっています。
薛剣総領事については、今回の問題発言以前にも2024年10月の衆議院選挙期間中に「れいわ新選組」への投票を呼びかける投稿をするなど、外交官として不適切な行動を繰り返していることが指摘されています。グラス駐日米大使も薛氏の投稿を批判し、「再び本性が露呈した。高市首相と日本国民を脅しにかかっている」と非難するなど、国際的にも問題視されています。
原口氏の今回の対応は、厳しい批判ではなく歴史と友好の重要性を踏まえた建設的な働きかけとして注目され、日中関係の安定化に向けた政治家の責任ある行動として評価する声も上がっています。