2025-08-19 コメント投稿する ▼
立憲民主党が渇水・高温被害対策本部を設置 小川幹事長「全体的対応が必要」
立憲民主党、渇水・高温被害等対策本部を設置
立憲民主党は8月19日、国会内で「渇水・高温被害等対策本部」(本部長・小川淳也幹事長)の初会合を開いた。全国的に渇水や高温による被害が広がる中、農林水産業や工業用水、さらにはエネルギー需給まで含めた包括的な対応の必要性が議論された。
冒頭のあいさつで小川幹事長は「刻々と状況は変わっており、お盆前と現在の状況は必ずしも同等ではない」と危機感を表明。そのうえで「渇水と豪雨を繰り返す気候変動の中では、農林水産業対策にとどまらず、工業用水やインフラの再構築を含めて全体的な対応が求められる」と述べた。
「今年の渇水は過去に経験がない規模」
「果樹農家は共済制度の対象外が多く脆弱だ」
「農業だけでなく工業用水への影響も心配」
「気候変動を前提にした政策設計が急務」
「補助制度の柔軟性を高めるべきだ」
国交省・農水省からの説明
会合では国土交通省と農林水産省から現状と対策について説明が行われた。国交省は、全国のダムで水利用者間の調整を進めているほか、最低水位以下の底水を活用し、排水ポンプ車や散水車を使って農業用水の確保を図っていると報告。
農林水産省は「ヒト・モノ・カネ」の三本柱で対応しているとし、災害緊急派遣チームの派遣(ヒト)、給水車やポンプの活用(モノ)、番水や給水にかかる経費補助(カネ)といった具体策を紹介した。
立憲民主党の狙いと課題
立憲民主党が独自に対策本部を立ち上げた背景には、気候変動がもたらす異常気象の頻発に対し、政府対応を超えた政策提言力を示す狙いがある。小川幹事長が指摘したように「豪雨と渇水の両方を前提にした政策設計」は今後避けられない課題であり、農業や工業を含む幅広い分野への影響が懸念されている。
質疑応答では、果樹農家が共済制度や収入保険に加入していないケースが多いことから、補助制度の見直しや新たな支援策の必要性も議論された。従来の災害対応型政策では補いきれない課題が浮き彫りとなり、立憲民主党は対策本部を通じて政府への政策提言や法制度の検討に踏み込む構えを見せている。
今後の展望
気候変動による渇水・高温被害は、農業やインフラに限らずエネルギー需給や地域経済全体にも直結する問題だ。立憲民主党は「全体的な対応」を掲げることで、単なる災害対策ではなく中長期的な国土計画やエネルギー政策にも踏み込む姿勢を打ち出している。
石破政権下での政府対応と並行し、野党がどのように独自の対策を打ち出していくのかは、今後の気候変動政策を占う試金石となるだろう。