2025-04-28 コメント投稿する ▼
日米、再び関税交渉へ 自動車・農産物が焦点、日本は投資メリット訴え対抗
日米、再び関税交渉へ 日本は「投資のメリット」強調
アメリカによる追加関税措置をめぐり、今週、2回目となる日米の閣僚交渉が行われる。日本政府は、アメリカにとって日本からの投資がいかに利益をもたらしているかを丁寧に説明し、建設的な議論を目指す考えだ。
背景:対日赤字削減を迫るトランプ政権
赤澤経済再生担当大臣は30日に日本を出発し、6月1日(日本時間)にもワシントンでベッセント財務長官らと会談する予定だ。
先月行われた初回交渉では、トランプ大統領が「アメリカの自動車や農産物は日本で売れていない」と不満を表明。貿易赤字をゼロにするという強硬な姿勢を示した。
日本政府内では、アメリカ側が貿易赤字の縮小を最大の目的に据えているとみられており、交渉戦略の練り直しが進んでいる。
赤澤大臣は、アメリカ国内で日本企業が積極的に投資し雇用を生んでいることを改めて訴え、両国の利益に資する交渉を進めたい考えだ。
争点:自動車と農産物、市場開放求めるアメリカ
今回の交渉では、アメリカ側が特に強い関心を示す自動車の安全基準見直しや、コメ、肉、じゃがいもなどの農産物市場の開放が議題に上がる見通しだ。
日本政府は、どの分野で具体的な議論を進めるかを慎重に見極めながら、自国の立場を主張する構えだ。
赤澤大臣は「一方的な要求に屈することなく、冷静に協議を重ねる」姿勢を強調している。
懸念:自動車部品への追加関税、日本経済に打撃も
トランプ政権はすでに5月3日、自動車に対して25%の追加関税を発動。さらに6月3日までにエンジン、トランスミッション、電子部品など自動車部品130品目にも対象を広げる予定だ。
日本からアメリカへの自動車部品輸出額は、2024年で1兆2310億円にのぼる。これは品目別で自動車本体に次ぐ規模であり、関税措置の影響は小さくない。
野村総合研究所の木内登英エコノミストは「関税の影響で日本のGDPが0.2%以上押し下げられる可能性がある」と指摘。日本経済への悪影響が懸念される。
また、日本自動車部品工業会の茅本隆司会長も「中小企業にとっては死活問題」と訴え、政府に対して粘り強い交渉を求めている。
展望:厳しい交渉が続く中、冷静な対応が鍵
日米交渉は簡単に妥結する情勢ではない。特に、自動車や農産物といった双方にとって重要な分野で、どこまで歩み寄りが可能かが焦点となる。
日本側は、アメリカ経済にも恩恵をもたらしている日本企業の投資活動を冷静に訴えながら、拙速な妥協を避ける方針だ。
中小企業への影響を最小限に抑えるためにも、政府には交渉力が問われる局面が続く。