2025-04-08 コメント投稿する ▼
日米通商交渉の最前線へ 石破政権、赤沢経済再生相を“対トランプ担当”に任命
この人事は、7日夜に行われた日米首脳の電話会談を受けたもの。両首脳は今後の貿易交渉において、それぞれの政府から担当閣僚を指名し、協議を継続していくことで合意した。
一方、トランプ大統領は交渉相手として、スコット・ベッセント財務長官を指名。さらに、通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア代表も交渉チームに加わる予定だ。
米側は強硬姿勢、日本は丁寧な対応を模索
米国が打ち出した関税措置は、自動車や機械、農産物など広範な分野に及び、対日輸出への影響が避けられない。特に、自動車に最大25%、農産品には24%の追加関税が検討されており、経済界からも強い懸念の声が上がっている。
こうしたなか、石破首相は電話会談で、「日本は米国への最大の投資国であり、両国の経済関係は相互にとって極めて重要だ」と述べ、関税の再考を直接要請した。これに対し、トランプ氏はSNSで「日本は貿易でアメリカをないがしろにしてきた」と強い口調で批判しており、交渉は一筋縄ではいきそうにない。
交渉の前線に立つ赤沢氏
今回、交渉を託された赤沢大臣は、自民党内でも理論派として知られ、経済政策に明るい。かつて財務省に在籍していた経験もあり、国際交渉の場でも冷静な対応が期待されている。
石破首相は周囲に、「情勢は厳しいが、丁寧に協議を重ね、両国の利益を損なわない着地点を見いだしたい」と語っているという。
米側の意図と為替問題
ベッセント財務長官の起用には、通商だけでなく為替政策への関心もにじむ。日本としては、交渉が円安・ドル高の為替問題にまで広がるのではないかと警戒している。
ただし、加藤勝信財務相は「為替に関する協議は引き続き財務省間で行われるべきだ」としており、交渉範囲の線引きが今後の焦点となりそうだ。
国会・経済界も注視、超党派で対応模索
政府内では、関税問題への対応を強化するため、関係閣僚を集めた対策本部の設置も検討されている。経団連や日本商工会議所からも「政府は強い意思で交渉に臨んでほしい」と要望が相次ぐ。
また、立憲民主党の野田佳彦代表は「日本の主権と産業を守るためにも、石破総理自ら渡米して直接交渉するべきだ」と提案するなど、与野党を超えた協調対応を呼びかけている。
今後の展望
トランプ政権は、他国にも類似の関税措置を検討しており、日本だけが標的というわけではない。しかし、日本にとってアメリカは最大の貿易相手国であり、影響は計り知れない。
赤沢大臣を中心とした交渉チームが、どこまで米側と歩み寄れるか。石破政権の外交手腕とともに、経済政策の舵取りが問われる局面に入った。