2025-11-04 コメント投稿する ▼
外国人保険料未納対策、27年6月開始へ 滞納者は在留更新不可能に
現在、出入国在留管理庁と厚生労働省のシステムが別々に管理されているため、外国人の保険料納付状況は在留資格審査に反映されていません。 将来的には、出入国在留管理庁と厚生労働省との間で保険料納付状況に応じて在留資格審査を厳格化する方向性が示されており、2027年6月からは保険料滞納者は在留資格の更新が認められない仕組みとなります。
出入国在留管理庁と連携、滞納者は在留資格変更認めず
保険料納付義務の徹底へ
上野賢一郎厚生労働相は、2027年6月から外国人の国民健康保険料未納対策を開始すると発表しました。政府は出入国在留管理庁との情報共有システムを構築し、保険料を滞納している外国人に対し、原則として在留資格の変更や更新を認めない方針です。外国人の不公平な保険料未納問題の解決に向け、制度的な枠組みの整備を進めることとなります。
この対策は、2025年11月4日に上野厚生労働相が記者会見で発表したものです。現在、出入国在留管理庁と厚生労働省のシステムが別々に管理されているため、外国人の保険料納付状況は在留資格審査に反映されていません。しかし、政府は2026年度にシステム改修を行い、2027年6月から、外国人の保険料の納付状況に応じて在留資格の更新・変更の審査を行う新たな制度を導入する方針を示しました。この制度改革は日本に滞在する外国人にとって、保険料納付に向けたハードルが高まる可能性があります。
保険料未納問題の深刻度
厚生労働省の調査によると、2023年時点で、外国人の国民健康保険の平均月額保険料は、1人あたり約13,000円(換算時:1ドル=150円)と試算されています。しかし、2023年に支払われた保険料は約1,000億ドル(約15兆円)であり、同年の加入者は225万人に上ります。これは、2019年の150万人から42%増加しており、外国人の未納問題が深刻化していることがうかがえます。
2023年度の外国人の保険料滞納額は、1世帯あたり平均13万5,200ドル(約203万円、換算時)で推移。滞納が継続する世帯の多くは、長期にわたって日本で生活している傾向が見られます。国民健康保険は日本の公的医療保険制度の一つで、会社員が加入する社会保険に比べて負担が重いものの、未納の外国人世帯数は増加傾向にあります。保険料の未納が一定期間続くと、資格証明書の発行や診療報酬の負担増など、医療面での制限が加えられます。一部の自治体では外国人の国籍や在留資格すら把握できていない状況もあり、保険料未納問題は大きな課題となっています。
厚生労働省は、この問題に対処するため、国保加入者の未納額軽減に向けた対策として、特定公的機関の情報連携システム(旧自治体ゼロベースプロジェクト)において、外国人の医療機関受診歴や所属医療機関情報を確認できるシステムを構築し、外国人の未納対策に向けて本格的な取り組みを開始しました。このシステムでは、入国審査時における保険料納付状況の確認や、勤務先企業の保険料納付状況確認を通じ、外国人の国保未納額を削減することを目指しています。
在留資格審査への影響拡大
近年、日本政府は在留資格の審査基準を厳格化し、外国人に対して適正な保険料納付を求める方針を示しています。在留外国人の数は、2025年6月時点で309万4,556人に達しており、そのうち約3割が国民健康保険に加入しています。しかし、保険料納付率が43.4%に留まっている状況にあり、未納問題が恒常化している実態も指摘されています。
将来的には、出入国在留管理庁と厚生労働省との間で保険料納付状況に応じて在留資格審査を厳格化する方向性が示されており、2027年6月からは保険料滞納者は在留資格の更新が認められない仕組みとなります。これにより、外国人の保険料納付に関する責任はより明確化され、制度の根幹に位置付けられます。一方で、外国人にとっては負担の大きい制度ともなるため、国民の意識向上と合わせ、政府は制度の根幹となる教育機関の整備にも注力しています。
これまでの入管法違反歴や保険料未納に関する情報は在留審査に反映されていませんでしたが、政府は保険料納付状況を審査材料とするシステムを導入することで、外国人の保険料未納問題に対処していく考えです。具体的には、自治体における外国人の在留資格や未納情報の正確な把握に向けたシステム構築と、滞納防止に向けた対策強化が進められます。特定公的機関との連携を通じ、外国人の保険料未納と在留資格の連動を実現し、社会的課題の解決に向けて取り組みを進めます。