上野賢一郎の活動・発言など
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活動報告・発言
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上野賢一郎厚労大臣マイナンバー活用で苦しい答弁 猪瀬直樹議員追及に「35%」数字で反論
上野厚労大臣が苦しい答弁 マイナンバー活用「システムが課題」猪瀬議員の追及に困惑 2025年11月13日の参議院予算委員会で、上野賢一郎厚生労働大臣が日本維新の会の猪瀬直樹議員からマイナンバー活用による医療費負担の是正について厳しく追及され、システム上の課題を理由に慎重な姿勢を示しました。金融所得のある高齢者の医療費負担格差を巡る論戦で、上野大臣の答弁は役所的で踏み込みに欠け、議場内から笑いが起きる場面もありました。 医療費負担の深刻な格差が浮き彫りに 猪瀬議員は質疑の冒頭から、現在の医療費負担制度の不公平さを鋭く指摘しました。「年間500万円の配当収入の人が確定申告の有無で、年間の医療保険料は僅か1.5万円で片や52万円と大きく異なるわけですね。確定申告していない窓口負担1割の人、500万円で1割の人と3割の人とこういうふうに違ってきてるんです。よくこんな不公平を放置してきたなと思いますよ」と述べ、医療費を負担できるのに払っていない高所得の高齢者がいることを問題視しました。 この指摘は、証券口座の90%がマイナンバーと紐づいている現状において、金融所得の情報をマイナンバーで把握し、医療費負担に反映させることが技術的に可能であることを前提としています。現役世代の社会保険料負担を減らすため、負担能力のある高齢者により適切な負担を求めるという维新の主張の核心部分です。 >「マイナンバーがあるんだから、なんでこんなに複雑になるの」 >「確定申告してない人だけ優遇されるのはおかしいでしょ」 >「システムの問題って言い訳にしか聞こえない」 >「役所の都合より国民の公平性を優先してほしい」 >「これじゃあマイナンバーの意味がないじゃないか」 上野大臣が明かした深刻なシステム問題 これに対し、上野厚生労働大臣は具体的な数字を示しながら回答しました。「(税務署に提出する)法定調書にマイナンバーが記載されていたとしても、それを現在オンラインで国税庁に提出されている割合が35%にとどまっておりまして、そのほかは紙であったり光ディスクで提出をされているというふうにお伺いをしております」と述べ、デジタル化の遅れが根本的な問題であることを認めました。 この35%という数字は、マイナンバー制度導入から約9年が経過した現在でも、多くの企業や金融機関が従来通りの紙ベースでの提出を続けていることを示しています。特に、証券会社から国税庁への支払調書提出において、デジタル化が予想以上に進んでいない実態が明らかになりました。 上野大臣はさらに「まずそこからシステムを見直していくことが必要でありますので一定の時間がかかるのではないかと考えております。ただ我々としては当然先延ばしをしようと考えているわけではなくて、きちんとしたシステムをできるだけ早急に導入すべきではないかというそういった発想のもとで取り組ませていただきたい」と答弁し、改善への意欲は示したものの、具体的な時期については言及を避けました。 縦割り行政の弊害も露呈 猪瀬議員が「システム上の問題とか言ってるけど、役所同士の問題はあるんですか。縦割りの弊害みたいなあるんだったらおっしゃっていただきたい」と追及すると、上野大臣は縦割り行政の問題も認めざるを得ませんでした。 「まず証券会社から国税庁のほうに情報提供していただく必要があります。それから国税庁からその情報を今度は自治体あるいは広域連合に提示をしなければ、例えば負担割合の決定などはできませんし保険料算定にも使えないということになりますので、役所間それから国と自治体間、このシステムを上手に作っていくことが必要であります」と説明し、複数の機関にまたがる情報連携の複雑さを認めました。 この答弁は、マイナンバー制度が目指していた「ワンストップ行政サービス」が、実際には各省庁や自治体間の壁によって十分に機能していない現実を浮き彫りにしました。証券会社→国税庁→自治体・広域連合という複数段階の情報伝達が必要で、それぞれの段階でシステムの非対応や手続きの遅れが生じています。 猪瀬議員の厳しい追及が続く 猪瀬議員は「すいません、あのねマイナンバーがあるんだからその話っていうのはそんなに複雑になるんですか、よく分からないんですよそこが」と再度質問し、マイナンバー制度の根本的な意義について疑問を呈しました。 この指摘は的を射たもので、マイナンバー制度導入時に政府が掲げた「効率的な行政運営」や「公平な負担」という理念が、実際の運用段階では様々な技術的・制度的障壁に阻まれている状況を端的に表現しています。 上野大臣は最後に「いずれにいたしましても紙でのやり取りということになりますと突合が非常に難しくなりますので、やはりオンライン上でのやり取りという形になろうかと思っております。システムの問題でありますので、その点我々も十分勉強して詳細を見極めたうえで自民・維新の協議体の方にしっかりと情報提供できるように務めさせていただきたいと思います」と答弁し、マイナンバーがあっても医療費負担への反映には時間がかかるという見方を示しました。 高市政権の社会保障改革に影 この問題は、高市早苗政権が掲げる「全世代型社会保障の構築」にとって重要な課題となっています。上野大臣は就任時に「能力に応じて全世代が支え合い、社会保険料の負担軽減を図りながら、制度の持続可能性を高めることが重要な課題だ」と述べており、今回の論戦はその実現の困難さを示すものとなりました。 特に、自民党と日本維新の会の連立政権では、維新が重点政策として掲げる社会保険料削減について、具体的な協議体を設置することが合意されています。今回明らかになったシステム上の課題は、こうした改革の実現を大幅に遅らせる可能性があります。 一方で、マイナンバー制度を活用した医療費負担の適正化は、現役世代の負担軽減を図る上で避けて通れない課題でもあります。2025年度には社会保障費の自然増が4100億円と見込まれる中、負担能力に応じた公平な制度設計が急務となっています。 上野大臣の今回の答弁は、マイナンバー制度の理想と現実のギャップを浮き彫りにしたものとして、今後の社会保障改革議論に大きな影響を与えそうです。政府には、技術的課題の早急な解決とともに、より実効性のある制度改革への取り組みが求められています。
厚労省事務連絡により期限切れ保険証でも通常負担受診継続、マイナ保険証普及低迷で暫定措置2026年3月まで
健康保険証の有効期限切れでも通常負担で受診可能 厚労省が暫定措置を通知、2026年3月まで延長で医療現場に安堵の声 従来の健康保険証が2024年12月2日に廃止された後も、期限切れの保険証を持参すれば医療費の10割負担を避けることができます。厚生労働省は紙やプラスチックカードの従来型の健康保険証について、有効期限が切れた後でも保険診療を認めると発表しました。この措置は2026年3月末まで暫定的に対応するとされ、マイナ保険証への移行期間における混乱防止策として注目を集めています。 期限切れ保険証も3割負担で受診継続 2024年12月2日以降、従来の健康保険証の新たな発行は行われなくなったものの、医療現場では期限切れの保険証を持参する患者への対応が課題となっていました。厚生労働省は12月12日付で全国の医療関係団体に事務連絡を出し、患者が期限切れの保険証や「資格情報のお知らせ」のみを医療機関の窓口に持参した場合でも、医療費を全額負担とせず、通常の負担割合で受診可能とするよう求めています。 この措置により、医療機関がオンライン資格確認システムを通じて資格を確認した上で、適切な負担割合による受診ができるようになりました。期限が切れた健康保険証や「資格情報のお知らせ」のみを持参した場合でもオンラインで資格確認を前提に認める対応です。 >「期限切れの保険証でも3割負担で受診できるなら安心です」 >「マイナ保険証がうまく使えない時もあるので助かります」 >「高齢の母は新しいシステムが分からないので、この措置はありがたい」 >「病院で10割負担になったらどうしようかと心配でした」 >「政府は現場の混乱をもっと考慮してほしい」 マイナ保険証普及の現実と課題 2024年9月末時点でのマイナンバー保有率は国民の75.2%、そのうち保険証利用登録が81.2%という状況ですが、マイナ保険証の利用率は13.87%と低水準にとどまっています。政府は5000億円規模の予算を投じて普及促進を図ったものの、国民の利用は進んでいません。 マイナ保険証は、資格情報が正しく表示されないなどのトラブルが絶えない状況が報告されています。厚労省が7月の中医協に示した医療機関等のヒアリング結果でも、顔認証ができない、カードリーダーがエラー、マイナ保険証の方が時間を要するなどの声が寄せられているのが実情です。 マイナ保険証エラーで「いったん全額負担」1720件という事例も報告され、医療現場では従来の保険証との併用が現実的な選択肢となっています。 政治的背景と国民世論 政府が現行保険証の廃止の方針を示したのは、2022年10月13日。河野太郎デジタル相が記者会見で、「2024年度秋に現在の健康保険証の廃止を目指す」と表明したものの、この重大な政策変更の決定過程は不透明なままです。東京新聞は今年6月、厚生労働省とデジタル庁に、「完全廃止」を決めるまでの政策決定のプロセスが分かる文書の開示を求めたところ、記録が残されていない状況が明らかになっています。 国民の間では反対世論が根強く、「任意のはずのマイナンバー(個人番号)カードを、健康保険証と一体化し、事実上強制するなんて許せない」という声が上がっています。マイナ保険証の解除申請は3カ月で5.8万人に達しており、制度への不信が数字にも表れています。 今回の暫定措置は、こうした医療現場の混乱と国民の不安に配慮したものと言えます。政府は医療アクセスの確保を最優先に、マイナ保険証の安定運用に向けた改善を急ぐべきです。一方で、デジタル化の推進と国民の選択権をどう両立させるかが、今後の重要な課題となりそうです。
シベリア抑留犠牲者「レゲスミタ」を「耳田」と特定、厚生労働省調査資料室の専門家集団が解読
「レゲスミタ」は誰?旧ソ連抑留日本人犠牲者特定の専門家集団 第二次世界大戦後、旧ソ連に抑留された約57万5千人の日本人のうち、約6万人が極寒の地で命を落としました。厚生労働省では、ロシア側から提供された資料を基に犠牲者の特定作業を続けていますが、その中には「レゲスミタ」と記された謎の日本人名がありました。東京都千代田区霞が関の中央合同庁舎5号館4階で、パズルを解くような分析を重ねながら、80年前の記録から一人一人の犠牲者を突き止める専門家集団が日夜奮闘しています。 10人の専門チームが挑む「応用問題」 厚生労働省社会・援護局調査資料室の池田真之室長補佐は「特定しやすい抑留者の照合は終わり、今の作業は〝応用問題〟だ」と語ります。1991年にロシアから資料提供を受けて以来、これまでに4万人以上の犠牲者を特定しましたが、「保留案件」と呼ばれる未特定の犠牲者は約1万4千人にも上ります。 同室の調査係では、係長以下10人が特定作業や遺族との調整に従事しています。基本的な作業はロシア政府などの資料と日本側資料を突き合わせるというものですが、その困難さは想像を絶します。当時のソ連の混乱した状況が、80年を経た今でも調査を阻んでいるのです。 最新の公表では2025年11月7日に9人の身元が明らかにされました。厚生労働省は月1回程度のペースで特定済み犠牲者の氏名を公表しており、これまでにシベリア・モンゴル地域で4万966人、その他地域で1040人、計4万2006人の個人特定を完了しています。 >「80年経ってもまだ見つからない家族がいるなんて」 >「こんな地道な作業をしている人たちがいるんだ、頭が下がる」 >「戦争の悲惨さを改めて感じる。二度と繰り返してはいけない」 >「ロシアとの関係が悪化している今、こういう人道的な作業は大切」 >「最後の一人まで見つけ出してほしい」 官僚国家の「悪しき一面」が困難を生む ロシア側資料には、当時のソ連の体質を物語る奇妙な文書が数多く散見されます。犠牲者の文書に、当人と縁もゆかりもない日本の住所が記されているケースが典型例です。「監査の目をごまかすためではないか」と池田補佐は分析します。事実よりも書類を残すことを優先した結果、虚偽の記録が作成されたというのです。 当時のソ連では資材不足が深刻で、紙やペンに窮していました。そのため新聞紙の活字の上に記載された書類まで残されています。受け入れ段階で調書を取れないまま抑留者が死亡した場合でも、別人の調書から転記して体裁だけを整えたケースもあったと推察されます。 17年間にわたって特定作業を進めてきた古参係員は「書類を残すということへの執念を感じる」と語ります。これは官僚国家としての悪しき一面をのぞかせるエピソードでもあります。抑留者を管理する兵士の中には、人手不足もあって十分な教育を受けられていない者も含まれており、単語のつづり間違いも多いといいます。 筆記体との格闘が生んだ「レゲスミタ」解読 最も係員の頭を悩ませるのが筆記体での記述です。一般名詞であれば文脈から類推できますが、人名はそうではありません。同じ文字でもいくつもの表記パターンがあり、他の字との判別に苦心します。当時のソ連人兵士も判読に苦労していたようで、元資料から転記する際に間違えたとみられる記述が資料には散見されます。 こうした困難な読み解きで係員たちが武器にしているのが、十数年前に池田補佐が作成した「キリル文字筆記体一覧」という資料です。実際の資料から筆記体として使われた文字1760パターンを抽出して並べたもので、特定作業の重要なツールとなっています。 同じように文字を書いてみたり、一旦書き起こしたものを音読して語感から実際の記述を探ったりする方法も頻繁に使われます。その成果として語り草になっているのが「レゲスミタ」と記された日本人犠牲者の事例です。何度も書き直しや日本兵士の部隊行動履歴との突き合わせを重ねることで、「ミミタ(耳田)」という姓であることを突き止めました。 遺族の感激が支える使命感 池田補佐は、ある遺族男性の体験を思い起こします。その男性の父親は子供の出産を見ることなく出征し、抑留死しました。「自分の妊娠すら知らなかったのではないか」と長年思っていた男性が老齢になって、厚労省から届いた父の文書の家族欄に自分の存在が記されていたことを知り、深く感激したのです。これもまた、調査係の成果の一つです。 このような遺族との出会いが、専門家集団の使命感を支えています。シベリア抑留では、スターリンが戦争による労働力不足を補うため、1945年8月に日本人将兵の抑留方針を決定しました。その後1956年に公式の帰還が完了するまでの11年間、飢えや寒さ、感染症で約6万人が死亡し、即決裁判によって処刑された抑留者の記録も残されています。 戦後80年が経過し、抑留者やその直系の遺族の高齢化が進む中、時間との競争でもあります。現在も約3万3000人の遺骨が現地にあるとされ、身元特定の重要性はますます高まっています。DNA鑑定による身元確認も進められていますが、2010年までに特定されたのは約828名に留まっています。 古参係員は「事実を知るためには、最後まで疑い続けることが大事。これからもそのための知見を他の職員に共有しながら、1人でも多く、1日でも早く特定を進めたい」と語りました。中央合同庁舎の一室で続けられるこの地道な作業は、戦争の記憶を風化させず、遺族に真実を届ける重要な使命を担っています。
旧ソ連抑留死者新たに9人判明、厚生労働省が身元特定し遺族に通知
厚生労働省は2025年11月7日、終戦後に旧ソビエト連邦によって抑留された日本人のうち、新たに9人の死亡者を特定したと発表しました。この9人はシベリア地域で7人、モンゴル地域で2人が死亡したことが確認され、出身地とともに同省ホームページで公開されました。 特定されたのは宮城県の加藤誠治氏、福島県の村田芳一氏と鹿目誠士氏、長崎県の小道正彦氏、大阪府の村本省悟氏、北海道の三木次郎市氏、山形県の奥山鈴夫氏、長野県の関金次氏、岩手県の小原舜吉氏の9人です。これで抑留死亡者の特定はシベリア・モンゴル地域で4万1167人、その他地域で1040人となりました。 戦後80年を迎えても続く身元調査 シベリア抑留は第二次世界大戦終了時、旧満州や樺太、千島列島でソ連軍に拘束された日本兵や民間人約57万5000人が、シベリアやモンゴルなどの強制労働収容所に送られた出来事です。厚生労働省の推計によると、約5万5000人が極寒の環境や過酷な労働により命を落としたとされています。 厚生労働省は1991年以降、ロシア連邦政府やモンゴル政府から提供された抑留中死亡者の名簿と日本側資料を照合し、死亡者の身元特定作業を継続しています。遺族が親族の死亡経緯を確認できるように、2007年3月からホームページで氏名や死亡年月日などを掲載しており、身元が判明した場合は都道府県を通じて遺族に関連資料を提供しています。 >「父の最期を知ることができて本当に良かった」 >「戦後80年経っても調査を続けてくれてありがたい」 >「もう生きている家族はいないけど、供養ができます」 >「祖父の名前が見つかって涙が止まりません」 >「せめて故郷で眠らせてあげたかった」 遺族への継続的な支援体制 今回特定された9人についても、厚生労働省は自治体を通じて遺族の調査を実施し、所在が判明した場合は名簿の記載内容をお知らせする予定です。提供される資料には、抑留者の氏名、生年月日、死亡年月日、埋葬場所などの情報が含まれています。 しかし、厚生労働省の推計する抑留中死亡者約5万3000人と比較すると、未だ約1万2000人分の名簿が提供されておらず、情報不足などにより約9000人が身元特定に至っていません。同省では、未特定者約2万1000人分の名簿をロシア政府に提供し、さらなる調査と資料提供を要請しています。 抑留者支援団体では、毎年8月23日を「シベリア抑留開始の日」として千鳥ヶ淵戦没者墓苑で追悼の集いを開催しており、遺族や関係者約150人が参加して犠牲者を追悼しています。また、舞鶴引揚記念館が収蔵する抑留資料は2015年にユネスコ「世界の記憶」として登録され、平和の尊さを伝える貴重な記録として保存されています。 平和への教訓として次世代に継承 シベリア抑留の実態解明は、単なる歴史的事実の確認にとどまらず、戦争がもたらす悲劇を風化させずに次世代に伝える重要な意味を持っています。極寒のシベリアで強制労働に従事し、故郷の土を踏むことなく命を落とした多くの日本人の記録は、平和の尊さを改めて認識させる貴重な教訓となっています。 厚生労働省は今後もロシア政府との協力関係を維持しながら、抑留に関する資料収集と分析を継続していく方針です。戦後80年という節目を迎えても、遺族からの相談に丁寧に対応し、一人でも多くの抑留死亡者の身元を明らかにする取り組みを続けています。 抑留者の高齢化が進み、体験者の証言を直接聞くことが困難になる中、こうした地道な調査活動は戦争の記憶を後世に継承する貴重な取り組みとして位置づけられています。今回の9人の身元特定も、長い時を経てようやく家族のもとに帰ることができた象徴的な出来事といえるでしょう。
生活保護減額補償で政府判断分かれる 最高裁違法認定受け厚労省は一部支給方針
厚生労働省が生活保護減額分の全額補償見送り 最高裁判決受けた対応で一部にとどめる方針 厚生労働省は2025年11月6日、生活保護費の2013年から2015年にかけての引き下げを違法とした最高裁判決への対応について、当時の減額分の追加支給を全額ではなく一部にとどめる方向で調整に入ったことが明らかになりました。同省は当時の一般低所得世帯の消費実態を踏まえると、全額支給は難しいと判断したとしています。 原告側は全額補償を求めており、反発が出るのは必至です。当時の受給者は約200万人に上り、減額は累計で数千億円規模になると見られています。 最高裁判決が認めた違法性 2025年6月27日の最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)は、2013年から15年にかけて国が生活保護費のうち食費や光熱費など日常生活を維持するための「生活扶助費」を最大10%引き下げたことについて、基準額引き下げの大きな根拠となった「デフレ調整」に裁量権の範囲の逸脱や乱用があり、生活保護法に違反すると認定しました。 国は13年から15年にかけて生活保護費を約670億円削減し、うち約580億円は厚労省が独自に算出した08年から11年の物価下落率(4.78%)を踏まえた「デフレ調整」によるものでした。判決では、基準額を改定する際に物価下落率を指標の一つとするのは許容されるものの消費実態を把握するには限界があると指摘し、これまで別の方式を用いて基準額を改定していたにもかかわらず、専門部会による審議を経なかったことを問題視しました。 しかし、最高裁判決は基準引き下げの根拠のうち物価下落を反映するデフレ調整を違法とする一方、受給者間の公平を図った、ゆがみ調整は違法ではないとしました。厚労省は今回の一部補償方針の根拠として、この点を重視していると見られます。 支援団体と当事者からは強い懸念の声 >「保護費が引き下げられ物価高も加わり、何のぜいたくもしていないのに苦しい。食べる量を減らす以外なく、冷房も暖房も使えない」 >「基準減額と物価高騰で生活が苦しい。服、下着は買えていない状況が続いている」 >「今年の夏は猛暑と物価高で、とんでもなく地獄を見ている。電気代が怖くてエアコンが使えない」 >「私たちの生存権が侵害された状態を解消するため、速やかに差額を払ってほしい」 >「最高裁判決を骨抜きにしようとしているのではないかと懐疑的に見ている」 原告の新垣敏夫さん(71歳・大阪)は「私たちの生存権が侵害された状態を解消するため、速やかに差額を払ってほしい」と述べ、専門委員会については「あらを探して最高裁判決を骨抜きにしようとしているのでは」と懐疑的な見方を示しています。 日本弁護士連合会が2024年12月3日を中心に実施した「全国一斉生活保護ホットライン」では、「保護費が低すぎて生活できない」などの相談が、生活保護利用中の者からの相談190件中49件(約26%)を占めました。物価高騰の中で、生活保護受給者の生活困窮が深刻化している実態が浮き彫りになっています。 厚労省の対応と今後の課題 厚労省は2025年8月以降、行政法などの識者による専門委員会で対応を協議してきており、近く取りまとめ議論に入る予定です。これまでの専門委では追加支給の是非や、支給する場合の水準などについて議論が行われています。 厚労省は既に死亡している人は追加支給の対象外とする案なども提示していました。原告弁護団によると、裁判が10年以上の長期間に渡ったため、原告の2割を超える232名がすでに亡くなり、勝訴判決を聞くことはできませんでした。 政府、与党内では「当時の受給者全員に追加支給せざるを得ない」との認識が広がっている一方で、立法措置が必要との指摘があり、国会への法案提出も視野に入れています。 物価高騰の中で続く基準額据え置き 現在の物価高騰は生活保護受給者の生活をさらに厳しくしています。消費者物価指数は2020年以降連続して上昇し続け、2020年を100とした2024年10月分の消費者物価指数は109.5(前年同月比2.3%上昇)で、中でも光熱・水道は111.1(同3.2%上昇)、食料は120.4(同3.5%上昇)となっています。 厚労省は2025年度の生活保護費について月500円程度の引き上げを調整していますが、物価高騰に追いついていないのが実情です。支援団体は抜本的な基準額の引き上げを求めていますが、財務省は11月に支給額の引き下げを求めており、政府内でも意見が分かれています。 生活保護の基準は5年おきに見直しが行われており、2013年に続き、2018年にも引下げが強行されました。2023年見直しでは急激な物価高騰を踏まえ、特例的な加算を行い引下げを回避しましたが、2025年度以降の基準については改めて検討するとの方針が示されています。 最高裁が国の政策決定を裁量権の逸脱として違法と認めることは珍しく、画期的な判決と評価される一方で、厚労省の今回の方針は判決の趣旨に反するとの批判も予想されます。受給者の生存権保障と国の財政負担のバランスをどう取るかが、今後の大きな焦点となります。
外国人保険料未納対策、27年6月開始へ 滞納者は在留更新不可能に
外国人保険料未納対策、27年6月から実施へ 出入国在留管理庁と連携、滞納者は在留資格変更認めず 保険料納付義務の徹底へ 上野賢一郎厚生労働相は、2027年6月から外国人の国民健康保険料未納対策を開始すると発表しました。政府は出入国在留管理庁との情報共有システムを構築し、保険料を滞納している外国人に対し、原則として在留資格の変更や更新を認めない方針です。外国人の不公平な保険料未納問題の解決に向け、制度的な枠組みの整備を進めることとなります。 この対策は、2025年11月4日に上野厚生労働相が記者会見で発表したものです。現在、出入国在留管理庁と厚生労働省のシステムが別々に管理されているため、外国人の保険料納付状況は在留資格審査に反映されていません。しかし、政府は2026年度にシステム改修を行い、2027年6月から、外国人の保険料の納付状況に応じて在留資格の更新・変更の審査を行う新たな制度を導入する方針を示しました。この制度改革は日本に滞在する外国人にとって、保険料納付に向けたハードルが高まる可能性があります。 保険料未納問題の深刻度 厚生労働省の調査によると、2023年時点で、外国人の国民健康保険の平均月額保険料は、1人あたり約13,000円(換算時:1ドル=150円)と試算されています。しかし、2023年に支払われた保険料は約1,000億ドル(約15兆円)であり、同年の加入者は225万人に上ります。これは、2019年の150万人から42%増加しており、外国人の未納問題が深刻化していることがうかがえます。 2023年度の外国人の保険料滞納額は、1世帯あたり平均13万5,200ドル(約203万円、換算時)で推移。滞納が継続する世帯の多くは、長期にわたって日本で生活している傾向が見られます。国民健康保険は日本の公的医療保険制度の一つで、会社員が加入する社会保険に比べて負担が重いものの、未納の外国人世帯数は増加傾向にあります。保険料の未納が一定期間続くと、資格証明書の発行や診療報酬の負担増など、医療面での制限が加えられます。一部の自治体では外国人の国籍や在留資格すら把握できていない状況もあり、保険料未納問題は大きな課題となっています。 厚生労働省は、この問題に対処するため、国保加入者の未納額軽減に向けた対策として、特定公的機関の情報連携システム(旧自治体ゼロベースプロジェクト)において、外国人の医療機関受診歴や所属医療機関情報を確認できるシステムを構築し、外国人の未納対策に向けて本格的な取り組みを開始しました。このシステムでは、入国審査時における保険料納付状況の確認や、勤務先企業の保険料納付状況確認を通じ、外国人の国保未納額を削減することを目指しています。 在留資格審査への影響拡大 近年、日本政府は在留資格の審査基準を厳格化し、外国人に対して適正な保険料納付を求める方針を示しています。在留外国人の数は、2025年6月時点で309万4,556人に達しており、そのうち約3割が国民健康保険に加入しています。しかし、保険料納付率が43.4%に留まっている状況にあり、未納問題が恒常化している実態も指摘されています。 将来的には、出入国在留管理庁と厚生労働省との間で保険料納付状況に応じて在留資格審査を厳格化する方向性が示されており、2027年6月からは保険料滞納者は在留資格の更新が認められない仕組みとなります。これにより、外国人の保険料納付に関する責任はより明確化され、制度の根幹に位置付けられます。一方で、外国人にとっては負担の大きい制度ともなるため、国民の意識向上と合わせ、政府は制度の根幹となる教育機関の整備にも注力しています。 これまでの入管法違反歴や保険料未納に関する情報は在留審査に反映されていませんでしたが、政府は保険料納付状況を審査材料とするシステムを導入することで、外国人の保険料未納問題に対処していく考えです。具体的には、自治体における外国人の在留資格や未納情報の正確な把握に向けたシステム構築と、滞納防止に向けた対策強化が進められます。特定公的機関との連携を通じ、外国人の保険料未納と在留資格の連動を実現し、社会的課題の解決に向けて取り組みを進めます。
外国人の国民健康保険、保険料「前納」可能に 厚労省通知で未払い対策強化
外国人国保加入時に保険料「前納」可能に 厚労省が通知 未払い防止に強制措置も 未払い実態の深刻化 厚生労働省は2024年10月29日付で、外国人が国民健康保険に加入する際に保険料を前納させることができるよう、関連条例の改正例を示した通知を全国の自治体に出しました。外国人による医療費と保険料の未払い問題が深刻化する中、未払い防止を狙った制度転換として早ければ2026年4月にも導入される見通しです。 通知によると、前納の対象者は保険料を課す前年度の1月1日時点で日本国内に住民登録をしていない人が世帯主の場合とされています。国籍による差別を避けるため、日本人も対象に含まれます。導入する自治体では最大1年分の保険料を前払いさせることが可能になり、支払期限を過ぎても納付がなければ、対象者の財産を強制的に差し押さえる「滞納処分」を進めることもできます。 外国人の納付率が3割にも及ばない 厚労省が2024年末時点で150市区町村を対象に実施した調査は、外国人の国保納付率の深刻さを明らかにしました。外国人の納付率は63%にとどまり、日本人を含めた全体の93%より30ポイント以上下回っています。2023年度の国保加入者のうち外国人は4%(97万人)ですが、滞納による医療機関への負担増も問題になっています。 新宿区のように外国人人口の割合が高い地域では納付率がさらに低下し、47%という自治体も報告されています。言語障壁や制度理解の不足、そして転出による還付手続きの複雑さなど、複数の背景要因が指摘されています。 「特別な事情」で対象から除外も可能 通知では、前納の対象から除外される場合についても明記しました。世帯の人数が多く年間保険料が高額になる場合や、年度内に転出して還付手続きが発生する可能性が高い場合など、「特別の事情」があれば市区町村などの判断で柔軟に対応することができます。 外国人患者の医療費未払いをめぐっては、これまで医療機関が負担してきた経営課題も大きな問題でした。訪日・在留外国人による医療費未払いは医療機関の経営を圧迫し、政府も医療費不払い経歴のある外国人への入国審査厳格化を進めています。 >「外国人の医療費未払いはもう深刻。医療現場も限界」 >「保険制度の説明をもっと多言語化して欲しい」 >「前納制度は必要だけど、制度周知が大事では」 >「転出予定者まで前納させるのは、還付トラブルが増えるのでは」 >「雇用主にも責任を持たせるべきだと思う」 国保財政への影響は軽微の可能性 注目すべきは、外国人の医療費使用額です。河野太郎衆議院議員が2025年2月に公開した資料によると、国民健康保険に加入している外国人の医療費は合計1,250億円で、全体の1.4%弱にすぎません。外国人被保険者は被保険者数の3.6%であることから、実は国民健康保険財政にむしろプラスの効果がある可能性も示唆されます。外国人の平均年齢が若く、一人当たり医療費も日本人より低いためです。 法制度の一層の整備へ 今回の通知に加え、政府は社会保険料や医療費の未納がある外国人について、在留資格の更新や入国審査を厳しくする方針も進めています。法的強制力をもつ前納制度は、外国人受け入れ拡大とともに社保制度の適正運用を両立させるための施策といえます。 ただし、制度の運用段階では多言語対応による周知徹底や、実際に払える経済状況の把握など、丁寧な実装が求められることになるでしょう。
生活保護加算も違法減額 のべ443万人に影響、再引き下げへの懸念
違法に引き下げられた加算、のべ443万人に及ぶ 再引き下げの懸念も 引き下げ「加算」まで波及 国の大幅な生活保護基準引き下げに伴い、加算支給も同様に削減されていた実態が明らかになりました。特に、母子加算や障害者加算、冬季加算などが対象となり、該当者はのべ約443万人にも上ることが厚生労働省の資料で判明しました。 この引き下げは、2013~2015年に実施された保護基準の「デフレ調整」を巡るもので、最高裁判所がこの調整を違法と判断しています。 判決の内容と加算支給への影響 2013~2015年、保護費の基準が物価変動率のみを根拠に減額される「デフレ調整」が行われました。これについて、最高裁は2025年6月27日、こうした方法を「専門的知見が認められず、厚生労働大臣の裁量権の逸脱・乱用」と判断しました。 厚労省資料によると、デフレ調整の適用を受けて現在まで見直しが行われていない加算では、期末一時扶助が約187万人、障害者加算が約37万人、合計のべ約239万人が対象でした。 また、過去にデフレ調整が適用された加算として、冬季加算・居宅分が約186万人、母子加算が約7万人、合計のべ約204万人が該当します。つまり、加算支給分まで引き下げられていた可能性が極めて大きいということです。 追加支給と“再引き下げ”のリスク 今後、判決を受けて、基準引き下げによる減額分の差額支給が検討されています。原告や支援団体からは「差額を速やかに支給してほしい」という声も上がっています。 しかし、厚労省は仮に追加支給をする場合でも、保護基準そのものを改めて引き下げる案を示しており、加算分についても再引き下げを行う恐れがあります。 それは、違法とされた「デフレ調整」と同様の考え方を使って、再び被保護者の支援水準を下げる可能性を含んでおり、支援を必要とする人々にとっては重大な懸念です。 制度の根幹と政治的背景 本件の背景には、制度運用の過程で政治的な意図があったとの指摘があります。特に、保護基準引き下げをめぐっては、所得の低い層への支援を削る政策決定が財政削減の一環として推進された経緯がありました。 ここで問われるのは、生活保護制度が憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」に沿って運用されているかという点です。最高裁も「判断過程および手続に過誤、欠落がある」と明言しています。 加算支給を削ることは単なる金額の問題ではなく、生活保護制度の「補完的支援」の部分を失わせる行為でもあります。母子世帯や障害のある世帯では、この加算が生活の支えそのものでした。 国民・受給者の声 > 「ずっとギリギリでやってきたのに、さらに削られていたと聞いて怒りを感じた」 > 「母子加算が減らされていたなんて知らなかった。子どもを育てるのがさらに難しくなった」 > 「追加支給と言われても、再び引き下げる案が出てるって話を聞いて絶望的」 > 「制度は助けになると信じてた。でもこんなやり方なら期待できない」 > 「最低限の生活を保障する仕組みが、政治的な理由で変わってしまっているのではないか」 これらの声が示すのは、制度変更が人々の生活を「見えない形」で蝕んでいたという現実です。 政策的な課題と今後の対応 まず、制度設計と運用における裁量の透明性と専門的検討の必要性が強く求められています。最高裁が示した通り、基準引き下げの判断には、十分な専門委員会審議や説明責任が欠けていました。 次に、生活保護制度は、受給者にとって予測可能で安定したものであるべきです。加算支給が減らされ、さらに再引き下げの可能性があることは、制度への信頼を根本から揺るがします。 また、政治的な観点から見ても、生活保護制度を「財政削減の道具」とすることは、公平性と国民への信頼を失う結果を招きます。制度は国民の生活を守るためのものであり、政治の思惑で左右されるべきではありません。 今後必要なのは、追加支給の実施だけではなく、再引き下げを前提としない安定した保護水準の確立です。国は誤った政策を繰り返さず、生活の安全網としての役割を取り戻す責任があります。
上野賢一郎厚労相「OTC類似薬保険外し・高額療養費改定を推進」現役世代負担抑制へ改革加速
現役世代の保険料抑制へ改革加速 上野厚労相「OTC類似薬見直し・高額療養費改定を推進」 上野賢一郎厚生労働相は2025年10月30日、産経新聞などのインタビューに応じ、現役世代の社会保険料負担を抑制するため、OTC類似薬の公的医療保険適用見直しと高額療養費制度の改定を進める方針を明言しました。社会保障制度の持続可能性を最優先としながらも、医療・介護現場への補助金支給を急ぐなど、現役世代負担軽減と医療現場の経営支援の両立を目指す姿勢を示しています。 OTC類似薬の保険外し、国民負担を巡る議論本格化 OTC類似薬とは、湿布薬や解熱鎮痛薬、花粉症薬といった市販医薬品と効能が同じ処方薬を指します。現在これらは医療保険が適用され、患者の負担は1~3割ですが、保険外しによって全額自己負担となります。政府は2025年6月に自民・公明・維新3党で合意し、2026年度からの段階的実施を目指しています。 上野厚労相は「医療機関における必要な受診を確保し、子どもや慢性疾患患者、低所得者の負担に配慮しつつ検討する」と述べ、見直しが一律的にならないよう配慮する姿勢を示しました。 >「薬代が高くなるので、必要な薬を諦めざるを得ない」 >「難病患者の治療継続が困難になると言われています」 >「政府は急いで結論を出さないで、当事者の声を聞いてほしい」 >「95%が保険適用除外に反対と答えた」 >「働くこと、生きることが難しくなる恐れがある」 一方、患者団体からの反発は強まっています。2025年10月29日には難病患者ら約5700人がアンケートに参加し、95パーセント以上が保険適用除外に反対と回答。魚鱗癬を患う子を持つ親からは「薬代負担増で症状悪化が心配」との声が相次いでいます。 高額療養費改定と最低賃金引き上げ、スケジュール遅延と実現課題 患者の医療費負担を一定に抑える高額療養費制度の見直しについては、上野厚労相は「12月に差し掛かる形になるだろう」とし、当初方針の秋までの結論出しが遅れる見通しを示しました。石破前首相が掲げた目標からのズレです。政府は当初2025年8月からの段階的な負担上限額引き上げを予定していましたが、患者団体や参院選を控える与党内から反対の声が相次ぎ、見送られた経緯があります。 政府が掲げる「2020年代に最低賃金全国平均1500円」の目標達成に向け、上野厚労相は中小企業支援の必要性を強調しました。2025年度の最低賃金は全国加重平均で時給1118円に引き上げられ、過去最大の6.0パーセント上昇率となっています。目標達成には2025年から2029年にかけて年平均7.3パーセントの引き上げが必要で、厚労相は「中小企業・小規模事業者の生産性向上支援や賃上げ環境の整備に継続して取り組む」と述べています。ただし、地方の小規模企業では「収益悪化で事業継続が困難」との声が2割を超えており、中小企業の二重苦が懸念されています。 医療・介護現場への補助金と労働時間規制の課題 一方、高市早苗新首相は医療機関や介護施設への補助金支給を急ぐ方針を表明しており、上野厚労相も全面的にサポートする立場です。「物価高騰や医療需要の急激な変化のほか、職員の処遇改善が不可欠」と指摘し、補正予算や総合経済対策に医療・介護支援策を盛り込む考えを強調しました。診療報酬改定を待たずに補助金で現場を支える戦略で、医療機関の経営難と人手不足への対応を急ぐ姿勢が際立っています。 高市首相が掲げる労働時間規制の緩和については、上野厚労相は「さまざまな意見を真摯に受け止め、働き方の実態やニーズを十分に検討する」と述べ、「誰もが健康的で、働きやすい働き方を選択できることが大切」とのバランスの取れた方針を示しました。規制緩和によって過労が増えないよう、慎重な進め方を目指しています。 これら改革が本来目指すのは、医療保険制度の維持です。高齢化に伴う医療費の増加が続く中、現役世代の負担増を抑えることが急務とされています。OTC類似薬の保険外し、高額療養費引き上げ、最低賃金引き上げという三つの改革は、いずれも現役世代と患者・労働者の負担増を意味する一方、医療・介護現場への補助金支給は改革の影響を和らげつつ現場の危機的状況に対応する施策です。実現可能性を巡る議論も続いており、OTC類似薬の対象品目が決まっていない点、最低賃金目標達成時期の柔軟性、医療現場支援の継続性など、課題は山積しています。政府は2025年末までにこれらの詳細を詰める予定ですが、患者と企業、労働者の多元的な利益調整が避けられない状況にあります。
医療・福祉業の精神障害労災が2倍増加 2024年白書で過去最高水準
医療・福祉業で精神障害労災認定が2倍に 過労死白書で過去最高水準 医療・福祉職における精神的負荷が急速に高まっています。厚生労働省が2025年10月に発表した「過労死等防止対策白書」によると、2024年の自殺以外の精神障害事案に関する労災保険給付請求件数を業種別に分析した結果、医療・福祉業は969件に上り、2020年の478件と比べて2倍以上に増加しました。わずか4年間で請求件数がほぼ倍増したという異常事態です。 この急増の背景には、医療機関や福祉施設の深刻な人手不足と、患者や利用者への対応の重圧が重なった状況があります。医療職(医師・看護師)に限定すると、3年ごとの平均事案数は2011年から2016年の14件から、2017年から2019年には24.7件へと増加し、2020年から2022年には46.7件となり、わずか6年間で3倍以上に跳ね上がっています。 医師の働き方改革が追いつかない現実 医師や看護師の働き方改革が2024年4月に本格施行されたにもかかわらず、同年の請求件数は過去最高水準に達しました。時間外労働の上限規制が導入されても、制度面の改善だけでは現場の過重労働と精神的負荷を根本的に解決できていない実態が浮き彫りになっています。 医師の働き方改革では、時間外労働を原則として年960時間以下に制限する基準が設けられています。しかし多くの医療機関では地域医療を支える特例により年1860時間まで時間外労働が認められており、実質的には規制緩和の側面も残っています。一般企業の上限である年720時間と比較すると、医療業界での対策は不十分な状況が続いています。 >「医師の働き方改革が始まったのに、精神疾患での労災請求がむしろ増えている。改革の掛け声だけで現場が変わっていない証拠だ」 >「看護師不足が深刻で、一人当たりの負担がさらに増えている。改革で医師の時間が減った分が看護師に転嫁されている」 >「患者さんの死に直面する環境で、十分な休息も取れず働き続ければ、誰だって精神を病む」 >「福祉施設でも同じ。介護職員は月給20万円程度で、認知症の利用者さんからの暴力や暴言に耐えている」 >「処遇改善加算が増額されても、給与が実際に上がらない施設も多い。働く理由が見つからない」 医療現場での悲劇的な出来事が引き金に 白書で注目すべきは、精神障害が発生する具体的な出来事の分析です。医療業界で顕著な原因として、「悲劇的な事故や災害の体験・目撃」と「同僚からの暴行やいじめ・嫌がらせ」がいずれも全産業平均の2倍以上の件数となっています。医療従事者は日常的に患者の苦痛や死に直面する環境にあり、これがPTSDやバーンアウト(燃え尽き症候群)のリスクを高めています。 医療の現場は命に関わる瞬間が繰り返される緊張の連続です。救命に失敗した経験、悲鳴を上げる患者、家族の絶望的な表情。こうした場面は医療従事者の心に深い傷を残します。さらに人手不足から十分な休息も得られず、心理的ケアも受けられない医療従事者は、やがて心身の不調に陥るのです。 一方、福祉業界でも状況は深刻です。介護労働安定センターの調査では、2024年7月の段階で介護事業所の約6割が介護職員不足を感じており、「大いに不足」という回答は直近10年で初めて3割を超えました。認知症利用者からの暴力や暴言、長時間の力仕事、低い賃金という三重苦のなかで、多くの介護職員が心理的限界に達しているのです。 他業種との比較で見えてくる課題 白書によると、精神障害事案の労災請求件数の業種別動向では、医療・福祉以外にも製造業(537件)と卸売業・小売業(512件)で増加が目立っています。ただし医療・福祉業の969件という数字は、これらの業種と比べて明らかに突出しており、医療・福祉職の危機的状況を示しています。 国が掲げた医療従事者の処遇改善策も進みが遅いままです。介護職員の処遇改善加算は2024年2月から5月にかけて月額平均6000円(2%程度)の引き上げが実施されましたが、給与全体の水準が依然として低く、魅力的な職場環境とは言えません。さらに介護現場で働く職員にとって、2024年度に2.5%、2025年度に2.0%のベースアップが予定されていますが、これが実際の給与に反映されるかは不透明です。 今求められる抜本的な対策 医療・福祉業での精神障害労災が倍増したという事実は、日本の医療・福祉体制の持続可能性に対する警告信号です。時間外労働の上限規制や処遇改善加算という上からの制度改正だけでは、現場の疲弊を止めることはできません。 必要なのは、医療機関や福祉施設への人的資源の抜本的な投下です。医師・看護師・介護職員の大幅な増員によって、一人当たりの業務負担を減らすことが急務となっています。同時に、精神保健相談体制の充実やメンタルヘルスケアの義務化、職場でのパワーハラスメント対策の強化も必要です。 白書が明示する医療・福祉職の苦境は、国民全体の医療・介護サービスの質の低下にも直結する課題です。従事者の心身の健康と尊厳を守らなければ、誰もが安心して医療・福祉サービスを受ける社会は実現できません。
国保料値上げが全国33%超 都道府県化の弊害と住民負担の現実
全国で加速する国保料値上げ 住民負担が深刻化 3割超の自治体が保険料を引き上げ 2025年度、全国の自治体で国民健康保険料(税)の値上げが広がっています。調査によると、577自治体(全国の33.2%)が保険料を引き上げており、2018年度の都道府県化以降では2024年度の676自治体に次ぐ多さとなりました。 調査は各自治体の公式資料をもとに保険料率を収集し、モデル世帯を設定して試算したものです。モデル世帯(給与年収400万円、専業主婦の妻、小学生2人の4人家族)では、平均保険料が2018年度の39.72万円から2025年度には40.49万円に上昇しています。単身世帯(年収240万円)でも、566自治体(32.6%)が値上げを実施しました。 都道府県化がもたらした負担の連鎖 都道府県別にみると、広島県は全市町で一斉に値上げを行った唯一の地域です。値上げ率が特に高いのは、愛知県(77.8%)、滋賀県(73.7%)、和歌山県(73.3%)、石川県(68.4%)、埼玉県(68.3%)などです。 こうした背景には、2018年度から始まった「国保の都道府県化」があります。それまで市町村単位で運営していた国保が都道府県に集約されたことで、各自治体が独自に行ってきた保険料軽減措置(一般会計からの繰入)が抑制され、結果的に住民負担が増しました。都道府県化は一見、制度の統一化や効率化を目的とした改革でしたが、実際には低所得層や非正規雇用者への重い負担として跳ね返っています。 制度の歪みと住民の声 国民健康保険の加入者は、約4割が年金生活者などの無職層、約3割が非正規雇用者で、その他もフリーランスや請負業など低所得者が多くを占めています。保険料の値上げは、こうした層にとって生活の圧迫要因となっています。 > 「年金だけで暮らしているのに、保険料がまた上がるなんてやりきれない」 > 「非正規で働いても手取りが少ないのに、国保料が重くのしかかる」 > 「子どもの教育費も削って払っている。制度が逆行していると感じる」 > 「自治体が助けてくれると思っていたのに、都道府県化で冷たくなった」 > 「暮らしを支えるための保険が、暮らしを圧迫しているのは本末転倒だ」 これらの声は、制度が本来の目的を果たせていない現状を映しています。 国保制度を巡る政治の責任 政府は「保険料の統一化」を掲げ、標準保険料率の導入や「保険者努力支援制度」によって医療費削減を促しています。しかし、これは自治体の裁量を制限し、地域の実情に応じた支援策を取りにくくする要因にもなっています。 憲法が定める「地方自治の本旨」および「条例制定権」は、自治体が住民の実態に応じて独自の政策を講じるために保障されたものです。したがって、自治体が自らの判断で公費を繰り入れることは法的にも可能です。それを制限する仕組みは、地方自治の理念を損ねかねません。 減税と制度見直しの必要性 現状の国保制度は、生活に余裕のない人々にとって過度な負担となっており、減税優先の立場から抜本的な見直しが急務です。医療制度の安定運営と住民負担の軽減は両立可能であり、財政の問題を理由に負担を押し付けるのは筋が通りません。 さらに、自治体が再び自由に公費を繰り入れられるよう制度を修正し、地域実情に応じた柔軟な軽減策を整備することが求められます。政治は財政均衡ではなく、国民の生活を守る責任を果たすべきです。 日本共産党は、住民生活を守るために1兆円規模の公費投入を提案していますが、政権側は財政規律を優先し、減税や負担軽減よりも「制度の均一化」を重視しています。これは国民生活の安定とは逆方向の政策です。 制度改革は必要ですが、方向を誤れば制度そのものが崩壊します。保険料引き上げではなく、減税と支援拡充による構造的立て直しこそが必要です。
病院の半数が赤字 経営悪化が深刻化 医療関係者が補助金支援を強く要請
病院半数が赤字 医療関係者「補助金急げ」 厚労省が2024年度決算発表 厚生労働省は2025年10月27日、医療法人の経営状況に関する2024年度決算を発表しました。発表によると、全国の病院の半数が赤字経営に陥っており、経営の悪化が深刻な問題となっています。医療現場の関係者からは、早急な補助金支援や診療報酬の改定が求められ、地域医療の崩壊を防ぐために緊急の対応が必要であると強調されています。 病院の赤字経営が半数に 厚労省が発表したデータによると、2024年度の医療法人の決算結果で、全国2098病院のうち49.4%が経常収支で赤字となっており、前年の41.5%から約8ポイント増加しました。この結果は、病院経営の悪化がより深刻化していることを示しています。また、診療報酬や医療支出などの本業収益を基にした医業収支で見ると、59.7%の病院が赤字であり、現行の診療報酬では病院経営が成り立たない状況が浮き彫りになっています。 この数字は、政府が公表している資料や自治体病院の経常収支が赤字であるという問題とも一致しており、医療業界全体の経営難がますます深刻になっていることを示しています。 診療所の経営状況も厳しい 病院だけでなく、診療所も厳しい経営状況にあります。無床診療所(入院設備のない診療所)2万574施設のうち34.4%が経常収支で赤字となっており、有床診療所(入院設備のある診療所)1307施設のうち40.8%が赤字という結果が出ています。これもまた、医療機関全体の経営難を浮き彫りにしています。 特に、診療所は地域密着型の医療を提供しており、これらの施設が赤字経営に陥ることは、地域医療の崩壊を意味する可能性があるため、早急な対策が求められています。 医療関係者からの強い要請 医療関係者からは、現状を打破するための強い要請が上がっています。日本医師会の角田徹副会長は、今のままだと「地域医療の崩壊につながる」と警告し、「早期の補助金支援とコスト増に見合った診療報酬の期中改定を緊急かつ最大限に行うことが必須だ」と強調しました。地域医療を支えるためには、診療報酬の改定だけではなく、補助金による支援が不可欠だという認識を示しました。 また、全日本病院協会の神野正博会長は、2024年度の診療報酬改定が不十分だったことが経営悪化の一因であるとし、「その不足を補うため、前倒しで補正予算を組み、早急に対応すべきだ」と訴えました。病院経営が厳しくなる中で、追加の財政支援を行わなければ、地域医療の崩壊は避けられないという意見が強まっています。 今後の対応と課題 現在の医療機関の経営難は、診療報酬の改定だけでは解決できない状況にあることが明らかになりました。特に、病院や診療所の収入源である診療報酬が現状のままでは、経営が成り立たないという現実が浮き彫りになっています。このため、政府は早急に補助金を提供し、診療報酬の改定を行うことで、医療機関の経営安定を図る必要があります。 今後、政府の対応がどのように進められるかが、地域医療の持続可能性に大きな影響を与えることになるでしょう。医療機関を支えるためには、早期の対応が不可欠であり、国民の健康を守るための具体的な対策が求められています。
介護保険改悪案に反対続出 厚労省部会で議論白熱
介護保険改悪の具体案 厚労省部会で反対意見続出 2025年10月27日、厚生労働省は介護保険部会を開催し、制度の持続可能性を確保するための改悪案を提示しました。ケアプランの有料化、要介護1・2の高齢者への保険給付外し、利用者負担の2割への拡大など、具体的な改正案が示されましたが、会議では反対意見が相次ぎ、議論が白熱しました。制度改悪案は高齢者とその家族に深刻な影響を与える可能性があり、今後の方向性を巡る議論が重要となっています。 制度改悪の具体案 厚労省は、介護保険制度の持続可能性を確保するために、いくつかの改悪案を提案しました。主な改案は、ケアプランの有料化、要介護1・2の高齢者への保険給付の外し、利用者負担の拡大です。ケアプランは現在、全額給付が行われているものの、有料化することが検討されています。また、要介護1・2の高齢者に対する訪問・通所介護を介護給付から外し、市町村主体の「総合事業」に移行する方針が示されています。さらに、利用者負担を現在の1割から2割に引き上げる案も提案されました。 これらの改案は、介護サービスの利用者にとって負担が大きくなる可能性があり、反対意見が多数上がっています。特に、高齢者やその家族にとっては、生活に直結する問題となるため、慎重に議論する必要があるとされています。 反対意見と懸念 改悪案に対しては、各団体や委員から反対の声が続出しました。まず、ケアプランの有料化について、複数の団体から「公正中立性を保つために現行の10割給付を維持すべきだ」との意見が出されました。日本医師会の委員も「介護保険財政が厳しいからといって、自己負担を導入するのは説得力に欠ける」と批判し、有料化の導入に疑問を呈しました。 また、要介護1・2の高齢者への訪問・通所介護の保険給付外しについても反対の意見が相次ぎました。全国市長会や「高齢社会をよくする女性の会」、「認知症の人と家族の会」などからは、「制度整備が不十分な自治体が多く、拙速な移行は避けるべきだ」との懸念が示されました。自治体ごとのサービス提供能力に差があり、急激な制度変更が地域の高齢者に不利益をもたらす恐れがあるため、慎重な対応が求められています。 さらに、利用者負担を2割に引き上げる案については、「年金が微増したばかりであり、サービス利用料の増加によりサービスを控える高齢者が出ている」との指摘がありました。「生活や健康に直結する問題であり、慎重に議論すべきだ」という声が多く、負担増の影響を最小限に抑えるべきだとの意見が多数を占めました。 公費投入の割合を見直す提案 また、連合や全国老人保健施設協会の委員からは、介護保険財政の持続性を確保するためには、国の公費負担割合を見直し、現行の50%を引き上げるべきだとの提案もありました。公費の割合を引き上げることで、介護保険制度の負担を軽減し、利用者に対するサービスの質を維持することができると考えられています。この提案には賛同する声もあり、今後の議論で重要なポイントとなるでしょう。 今後の展開と課題 厚労省は、年末までに介護保険改正案の結論を出す意向を示しており、今後の議論の進展に注目が集まります。制度改悪案は高齢者にとって大きな影響を与える問題であり、負担増やサービスの質低下を招く懸念があります。その一方で、介護保険制度の持続可能性を確保するためには、一定の改革が必要であるという立場もあります。 今後、さらに詳細な議論を重ねる必要があり、特に高齢者福祉における最適な負担のあり方や、制度改革が地域ごとの実情に適合するかどうかが重要なテーマとなるでしょう。また、改悪案に対する反対意見を受けて、どのように制度を調整し、バランスを取っていくかが鍵となります。
上野賢一郎厚労相 「政治資金私的流用か」スナック支出など疑義
政治資金疑惑浮上 ― 上野賢一郎厚生労働相の資金管理団体をめぐる“私的流用”疑義 10月26日、10月21日に発足した 高市早苗政権で初入閣した上野賢一郎氏(衆院滋賀2区、自由民主党=自民党所属)の資金管理団体「うえの賢一郎・政経フォーラム」が、政治資金を私的支出に用いた疑いが本紙の調べで判明しました。調査によると、スナックや焼き肉店、高級バーと見られる飲食代のほか、茶道クラブの会費・歌手ファンクラブの会費など、個人的趣味と関連すると受け取られかねない支出が多数含まれています。政治資金規正法は「政治活動に必要な経費」のみを支出対象と定めており、私的流用が事実なら同法違反の疑いが生じます。 疑惑の内容と支出内訳 上野氏の団体が提出した2023年分の政治資金収支報告書によれば、組織活動費(会議費)欄に「打ち合わせ飲食代」として27件の支出が計上されており、そのうち東京・赤坂にあるスナックでの支出が2件確認されました。2023年2月に68,900円、7月に52,200円を支出しており、店内はネオン街のビル3階、カウンターでスーツ姿の男性客が酒を飲むといういわゆる社交場の様子です。従業員は「上野氏や後援会員が何度か来店した」と話すものの、「会議や打ち合わせの目的で利用した事実」が存在するかどうかは明言していません。 さらに、焼き肉店や中華料理店などでも同様の支出があり、合計額は200万円を超えると報じられています。 一方、組織活動費(行事費)欄には「会費」という名目で、茶道クラブの会費1万1,800円(2023年2月)、歌手ファンクラブの年会費1万1,000円、相撲部屋合宿の事務局支払い2万5,000円などが記載されています。茶道クラブの会長は「会員で、年間5,500円の会費と茶券の郵送料を支払った。政治活動ではなく趣味として妻子と参加している」と説明しており、政治活動との関連性に疑問が残ります。 説明責任と法的観点 本紙の質問状に対し、上野氏の事務所は「政党機関紙からの質問には回答しておりません」とコメント。質疑応答では、上野氏自身「私自身も流用ではないというふうに当然思っているわけでございます」と述べています。 以上の支出が、実質的に政治活動に直接必要なものとは認めがたい内容とされるなら、政治資金規正法において「虚偽記載罪」や「私的流用」の疑いが出てくる可能性があります。法律学者である 上脇博之教授(政治資金オンブズマン代表)は「酒を提供する店で会議を開く必要性はなく、私的飲食代を『会議費』として支出したのなら虚偽記載罪に問われ得る。明らかに政治活動ではない行事の会費も自分の財布で支払うべきだ」と指摘しています。 背景と今後の視点 上野氏は2023年に開催した2回の政治資金パーティーで計3,012万円を集めており、資金管理団体にかなりの資金が流入していたことが報じられています。こうした大きな収入を背景に、政治資金の運用・支出に甘さが出た可能性があります。 また、現政権では「議員定数削減」など議会制度改革も掲げられており、政治とカネの問題は「身を切る改革」を掲げるうえでも避けて通れないテーマとなっています。国民の信頼を取り戻すためには、説明責任の明確化と制度の透明化が不可欠です。私は、上野氏を含めて自民党政権において「企業・団体献金」や「政治資金の運用」に対する批判が以前にも出てきたことから、今回は政権としての信頼回復試金石になると考えます。 上野賢一郎厚生労働相の資金管理団体が、スナックや趣味関連支出を政治活動名目で計上していた疑いが浮上しました。政治資金規正法の枠内で運用されていたか、説明責任が問われる事態となっています。高市政権が掲げる「政治改革」「身を切る改革」の信頼性が、こうした案件で大きく揺らぎかねません。今後の追及と公的調査の動向が注目です。
70歳以上の医療費負担見直しへ 厚労省が能力に応じた負担求める方針
厚生労働省は2025年10月23日の社会保障審議会医療保険部会で、70歳以上の医療費窓口負担の見直しに向けた議論を開始しました。現在は原則1から2割としている自己負担について、年齢ではなく支払い能力に応じた負担を求めるべきだとの指摘が目立ちました。現役世代の保険料負担を軽減する狙いですが、高齢者の負担増は避けられない見通しです。 70歳以上の負担見直しが本格化 部会では、1人当たり医療費は高齢者ほど高い傾向にあるのに対し、自己負担額は低く抑えられているとのデータが示されました。70歳以上の医療費のうち、窓口負担を除いた約4割は現役世代が負担する構造になっており、今後も負担が増えていくことが見込まれています。 委員からは「能力に応じた全世代の支え合いの観点から、低所得高齢者への影響を極力抑制しつつ、70歳以上固有の制度である外来特例の見直しを行うべき」との意見が出されました。一方で、負担増となる可能性もあり、低所得層への配慮が必要だとする慎重意見も出ています。 厚労省は、市販薬と効能が似たOTC類似薬への公的医療保険の適用見直しなど、他の論点とともに年内に方向性をまとめ、医療制度改革に反映させたい考えです。 >「また高齢者の負担増か。年金は減るのに医療費は上がる一方だ」 >「現役世代の負担軽減は必要だけど、低所得の高齢者が困る」 >「能力に応じた負担は当然。年齢だけで優遇するのはおかしい」 >「70歳以上でも裕福な人はいる。一律1割負担は不公平だ」 >「外来特例の見直しって、結局病院に行きづらくなるってこと?」 2割負担の配慮措置は終了済み 後期高齢者医療制度では、2022年10月から一定以上の所得がある75歳以上の方の窓口負担が1割から2割に引き上げられました。急激な負担増を防ぐため、1か月の外来医療費の負担増加額を3000円までに抑える配慮措置が講じられていましたが、この措置は2025年9月30日で終了しています。 配慮措置終了後も、高額療養費制度により外来の自己負担上限額は月1万8000円年間14万4000円までとなっています。しかし実質的な負担増は避けられず、高齢者からは不安の声が上がっています。 厚労省の推計によれば、2割負担となったのは後期高齢者医療制度の被保険者の約20パーセント約370万人です。課税所得が28万円以上で、年金収入とその他の合計所得金額の合計が単身世帯で200万円以上、複数世帯で320万円以上の方が対象となっています。 OTC類似薬の保険適用除外も検討 今回の部会では、OTC類似薬への公的医療保険の適用見直しも議題となりました。OTC類似薬とは、湿布薬、目薬、ビタミン剤、漢方薬、胃腸薬など、市販薬と同様の有効成分や効能を持つ医療用医薬品を指します。 医師委員からは「患者の自己判断により重篤疾患の早期発見・治療の機会逸失を懸念し、時期尚早であり反対」との意見が出ました。一方、保険者委員などからは「医療保険は個人では対応できない大きなリスクに備える仕組み。OTC類似薬は保険給付の在り方を変えることも検討すべき」との声が上がっています。 自民党、公明党、日本維新の会の3党は2025年春の合意文書で、社会保障改革による国民負担の軽減を実現するため、3党の協議体を設置することで合意しました。OTC類似薬の保険適用除外は、この改革の一環として検討されています。 現役世代の負担軽減が急務 2022年度以降、団塊の世代が後期高齢者となり始めることで、後期高齢者の医療費の増大が見込まれています。現役世代の負担上昇を抑えるためには、少しでも多くの方に支える側として能力に応じた負担をしていただくことが不可欠です。 厚労省は高額療養費の自己負担上限を平均層で7.5から12.5パーセント引き上げることで、保険料の1人当たり負担が1300から5300円軽減されると試算しています。ただし高齢者の負担増は避けられず、低所得層への配慮が課題となっています。
上野賢一郎氏を入閣へ 高市早苗政権が財務・経済重視布陣を提示
上野賢一郎氏を入閣へ 高市早苗総裁が起用方針 自民党の総裁である 高市早苗氏は、21日に発足予定の新内閣で、衆議院議員で元財務副大臣の 上野賢一郎氏を閣僚に起用する方向で最終調整を進めていることが、関係者の取材で明らかになった。 上野賢一郎氏の経歴と起用背景 上野賢一郎氏(滋賀県第2区選出・自由民主党)は、昭和40年8月3日生まれ。京都大学法学部卒業後、自治省(現総務省)に入省。のち国土交通政務官、財務副大臣などを歴任しており、党内では財務金融部会長、経済産業部会長、党副幹事長などの要職を務めた。 特に財務副大臣として財政政策・税制対応の知見を有する人物として評価されており、今回の閣僚起用は、新政権が「経済・成長」「財政・減税」路線を強調する意思表示と見られている。 起用の狙いと政策的含意 上野氏の起用には少なくとも三つの意図があると考えられる。 まず、新政権が掲げる「経済安全保障」「産業振興」「減税優先」の政策を、財務分野に強みを持つ上野氏を通じて具現化しようという狙いである。特に現在、物価高・円安・中小企業の苦境という経済課題が山積しており、財政・経済政策の即時実行力が求められている。 次に、総裁である高市氏自身が長年唱える「海外援助の国益説明義務」「インボイス廃止」「選択的夫婦別姓反対」など保守的政策スタンスを、財務・経済面から支える人材と位置づけられている。上野氏が「既得権益」「企業・団体献金」に対して厳しい立場を取ってきた経歴も、政権の「国民のための政治」アピールと整合する可能性がある。実際、上野氏はガソリン暫定税率廃止法案について「究極のポピュリズム」との批判を展開したこともある。 さらに、地方・ベテラン議員を閣僚に入れることで、政権支持基盤を地方・中小規模選挙区にも広げる政治的戦略も見え隠れする。滋賀選出の上野氏を起用することで、政権が地方振興・地域経済支援にも本気で取り組む姿勢を示そうというものと推察される。 懸念されるリスクと実行課題 とはいえ、起用だけでは済まないハードルも少なくない。まず、安全保障・法務・外務などと並行して“経済・財政”を軸に据えるとなれば、単に政策を安全保障寄りに偏らせてしまうと「国民生活軽視」「財政バランス崩壊」といった批判を浴びる。現在の高市氏の政策スタンスでは「高校・大学の無償化には反対」「減税優先」との方向性が明確であるため、財務・経済担当閣僚起用である上野氏には、実際に国民の懐を温める政策をどれだけ示せるかが問われる。 また、政党・企業・団体の献金問題が依然として大きな政治課題であり、財務分野を担当する閣僚が利益誘導と結びつくとの疑念を招くと政権そのものが信頼を失いかねない。政権が企業・団体献金への批判を掲げる以上、その裏付けとなる運営が不可欠である。 さらに、政権構成上、他党と連立を組む可能性を排除できない状況において、「自民党=ドロ船政権」の烙印を押されないためにも、閣僚人事に偏りがないこと、多様な人材登用・女性の登用といったバランスも問われる。上野氏起用が保守派・財務経済系に偏った布陣の一環と見られるなら、そこの整合性も課題だ。 今後の焦点と展望 今後、上野賢一郎氏が実際にどの省庁・役割で閣僚入りするかが最初の焦点となる。財務・金融・経済産業いずれかを担当する可能性が高いと見られ、そこから次の論点が派生する。 ・「減税優先」「財政出動」「企業支援」という政権スタンスを、具体的にどのような政策パッケージで示すか。 ・「経済安全保障」「サプライチェーン強化」「産業技術保護」といった新たな経済分野の安全保障視点を、財務・経済政策とどう統合するか。 ・政党・企業・団体献金の構図をどう変え、透明性・説明責任・既得権益との決別を示せるか。 ・国民生活の改善(物価対策・所得支援・中小企業支援)と、財政・経済政策のバランスをどう取るか。 結論として、上野氏の起用は政権が「財務・経済」を重視する姿勢を鮮明にすると同時に、政権が掲げる「守るべきもの」「変えるべきもの」の両立を実務で試される指標となる。人選の意図は明確だが、政策実行の質と国民視点の徹底が伴わなければ、起用の意義は薄れてしまう。新政権の支持を左右する、まさに“分岐点”と言えるだろう。
上野賢一郎議員「ポピュリズム」と減税批判 制度論で庶民の声を切り捨てる自民党の傲慢
「ポピュリズム批判」で庶民の声を切り捨てる政治の傲慢 ガソリン税に上乗せされている「当分の間税率」(暫定税率)を廃止する法案が、野党7党により提出され、衆院財務金融委員会で可決された。しかし、自民党の上野賢一郎議員はこれに対し、「わずか3時間の審議で採決に至るのは異常だ」と強く反発。「参院選前のパフォーマンス」「究極のポピュリズム」と野党を批判した。 だが、その姿勢こそが生活苦にあえぐ国民との深い断絶を象徴している。庶民の悲鳴を“選挙目当て”と切り捨てる上野氏の発言は、いまの自民党の姿勢を如実に表している。 生活の現場ではなく「制度の都合」を最優先 上野議員は、「制度上の不備がある」「急すぎる」との論点で法案に強く異を唱えたが、それは“やらない理由”を並べ立てる官僚的な姿勢そのものだ。国民の生活がガソリン価格の高止まりで圧迫されている現状を前にして、「制度設計が整っていないから今回は無理」という言い訳が通じるだろうか。 自民党は過去にも消費税減税を「財源が」として否定してきたが、同じ論法が今回も繰り返された形だ。 > 「自分たちがやらない理由を見つけるのは天下一品」 > 「制度不備って、それを整えるのが政治家の仕事でしょ」 沖縄を“人質”にして全国減税を止める理屈 上野氏が「この法案では、沖縄のガソリンが本土より高くなる」と指摘した点は一見もっともらしく聞こえるが、これは全国規模の減税を止める理由にはならない。むしろ、それを理由に全国の国民に負担を強いる構図に、政治の怠慢が透けて見える。 本来なら、「沖縄への個別対策を同時に講じればいい」だけの話だ。制度的不備を盾に、国民全体の恩恵をブロックする行為は、政権与党としての無責任さを露呈している。 > 「沖縄の人たちを“減税潰しの材料”に使わないでほしい」 “ポピュリズム”というレッテル貼りが示す傲慢 上野氏は野党側を「究極のポピュリズム」と断じた。しかし、それは逆に言えば「国民の声に即応した政策は認めない」と言っているに等しい。減税を求める声は、決して一時的なブームではなく、長年続く生活苦と物価高の結果として噴き出しているものだ。 その声を「選挙前のパフォーマンス」と切って捨てるのは、政治の本分を忘れた驕りであり、制度を盾にした責任逃れにほかならない。 > 「庶民の減税要求を“ポピュリズム”って、本気で言ってるの?」 本当に“準備不足”だったのは誰か 上野議員は「もっと時間をかけて丁寧に議論すべきだった」とも語ったが、逆に問いたい。なぜ与党はこれまで減税に真剣に取り組んでこなかったのか。なぜ長年の“当分の間”税率を放置してきたのか。 国民が声を上げ、野党が法案を提出し、数時間の審議で可決に至るまでに、与党は何をしていたのか。今さら「拙速だ」と憤ってみせるその姿勢こそ、“準備を怠った政権”の証明ではないか。 > 「審議時間より、何年も放置してきた自分たちの怠慢を反省すべき」
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上野賢一郎
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