2025-07-16 コメント: 1件 ▼
減酒アプリに保険適用へ 「依存症患者が自分で管理できるのか?」疑問と懸念の声も
減酒アプリが保険適用へ 「飲み過ぎ防止」支援に現場からは疑問の声も
厚生労働省の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)は7月16日、アルコール依存症患者向けに開発されたスマートフォン用「減酒補助アプリ」を、2024年9月から公的医療保険の対象とすることを了承した。飲酒量を自分で入力し、アプリの助言を受けながら飲酒を減らしていくという新しい治療スタイルが始まるが、当事者や現場からはさっそく疑問の声も上がっている。
軽度依存症が対象 医師処方で利用開始
対象となるのは、アルコール依存症の中でも軽度の状態にある患者。アプリは医師の処方がなければ利用できず、患者がアプリをダウンロードし、診察時に渡されるパスワードを入力することで使用開始となる。通院は月1回、最長で6回まで保険が適用され、自己負担3割の場合、1回あたり約2400円とされている。
アプリには日々の飲酒量や体調、気分などを入力する機能があり、それに応じて減酒のためのアドバイスや目標が提示される仕組み。医師は診察時にこの情報をもとに患者と面談し、生活改善を促すという。
「管理できる状態なら依存症じゃない」現場の声と根本的な疑問
一方で、こうしたアプリを本当に依存症患者が使いこなせるのか、根本的な疑問を呈する声も多い。依存症は意志の問題ではなく、脳の病気であり、自制が困難であることが特徴だ。習慣的に飲酒を繰り返し、自覚や反省を繰り返しても止められないという状態の人に「アプリに毎日記録しなさい」「アドバイス通り飲酒を減らしなさい」というアプローチが有効なのか、専門家の間でも意見が分かれている。
「依存症の人が毎日入力?できるなら苦労しない」
「根性論のデジタル版に見えてしまう」
「記録する意志がある段階なら、すでに回復の兆しでは」
「医師が横で見てるなら意味あるけど、アプリ任せは危ない」
「費用負担の前に効果検証が必要では?」
アプリ利用料の全体像は? 保険でカバーされるのは一部
今回の発表では、保険適用による自己負担額(約2400円/1回)に焦点が当てられているが、アプリ自体の利用料の全体像は明らかにされていない。実際にはアプリ開発企業に支払われる金額(公定価格)が設定されており、そのうち一定割合を国の保険制度がカバーし、残りを患者が自己負担するという構図になる。
仮に医療機関が1回あたり8000円の診療報酬を受け取るとすれば、自己負担3割で2400円、残り5600円は公費となる。つまり、アプリ利用には数万円規模の公的支出が発生する可能性もある。
今後、こうした“アプリ医療”が広がれば、医療費全体への影響も避けられず、費用対効果や公的負担の妥当性が問われることになる。
早期介入には意義も だが“万能薬”ではない
依存症患者の多くは、病院を受診するまでに時間がかかる。そうした“入口対策”として、アプリが果たす役割には一定の期待もある。特に、匿名性が高く、気軽に試せる点は、治療へのハードルを下げる効果もあるだろう。
しかしながら、アプリが万能薬ではないこともまた明白だ。あくまで「補助的な支援ツール」であり、医師の継続的な関与や、患者の家族・周囲の理解がなければ、依存症という根深い病と向き合うことは難しい。
厚労省は今回の取り組みを「先進的なデジタル医療の第一歩」としているが、現場では「実態を見失った机上の政策」との冷ややかな声も少なくない。
「まず医療現場に聞いてから保険適用すべきでは」
「薬やカウンセリングの方が優先じゃないか」
「試す価値はあるけど、税金を投じるなら慎重に」
「アプリの費用、ちゃんと開示して」
「依存症はそんなに甘くない」